生きる力をはぐくむ歯・口の健康づくり
                         校長 小椋つや子
 
 
本校は、第47回全日本学校歯科保健優良校として最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞しました。これは学校歯科医の宮澤先生の「学校は子どもの健康を育成する最高の場である」という信念のもと、22年間という長きにわたって歯を通した健康教育にご尽力いただいた賜だと感謝しております。また、歯・口の健康は、生きる力をはぐくむための基礎となるということの認識が家庭や地域にしっかり根付いているということも実感しております。
 宮澤先生がどのようなお考えのもとに歯科保健指導に当たってこられたか、その一端と宮澤先生の授業を受けた子どもたちの変容を感想でご紹介します。

 教育の場における歯科保健指導は、学校のもつ教育目標や保健目標を達成するために有効に機能するものでなければいけない。児童が自ら自分の健康状態について理解し、自らの力で健康問題を解決し、健康に生きてゆく能力や態度の育成に役立つようなより教育的側面からのアプローチが求められる。
 管理的歯科保健指導・むし歯対策「歯を磨きなさい」「間食を制限するように、特に甘いものは少なく」「むし歯は早く治しなさい」という指導では、子どもはいつも受げ身になり・小学校のような成長過程に必要な知力を養うための場での指導としては不十分である。人間のもっている自発性・主体性を軸とした考え方を学校歯科保健指導に応用しての指導は、歯・口の問題の解決に有効であるばかりでなく、人間が生きていく上での基本、すなわち自己決定能力を育成するためにも有効であると考える。

 
 《子どもたちの感想》
○ 今日の授業で先生の見せてくれた歯垢の写真に驚きました。あんなのが口の中にあると思うと、ていねいに歯を磨こうという気持ちになりました。むし歯になっても小さいむし歯なら歯磨きで治せるということも今日はじめて知りました。
○ 歯がむし歯にならないようにするには、生活習慣を見直さなければいけないと思いました。まだ、むし歯は一度もできたことがないので、これからも歯を大切にしたいです。
○ あまり歯のことは考えたことがなかったんですが、写真を見て歯のことや歯垢などのことが分かりました。そして、歯を磨かなかったらどうなってしまうのかなどが分かって、自分もそうかもしれないとちょっとあせりました。どれだけ歯が大切かわかってよかったです。

 歯・口の健康づくりは、次のような点から子どもにとって大変有効な健康教育の題材であるといわれています。
 ① 鏡を見れば自らが観察できる対象であること
 ② 歯が生え変わったり萌出したりすることを容易に実体験することができ、生への畏敬の念や興味・関心がもちやすいこと
 ③ 知識・理解が容易であること
 ④ 行動した結果が自己評価しやすいこと
 ⑤ 話題の共通性に富んでいること
 朝や就寝前の歯みがき、あるいは規則的な間食の摂取などの行動は、子ども自身が自らを律することにつながります。生命を尊重する態度の育成など、豊かな人間性を育むことにもつながり、歯・口の健康づくりはまさに「生きる力」の育成に直結した取組です。
 健康な歯と口は、生涯にわたる健康づくりの基盤であり、8020運動(80歳まで20本の歯を保つ)に示されるように、生活の向上や日常生活行動の活性化につながるものです。また、歯や口の健康づくりを通した生活習慣の改善が、心身の健康全般にもつながることが明らかになっています。

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