第1分科会『全職員による協力体制(全校TT)・まちとの協働』

第一分科会 記録

コーディネーター:服部 信雄(前いちょう小学校校長)

                                   報告者:          竹下  護(いちょう小学校)

                                                    大友 裕子(いちょう小学校)

◎「言葉の問題について」                                  

○子どもたちは、家庭では母語を話し、学校では日本語を話す。保護者が子どもの母語喪失を恐れるからだろうか。

 @いちょうでは子どもの言語の状況をどのように把握しているか。

 A母語喪失でどのような問題が生じるのか。

 @子どもの言語の状況は就学時健診や通訳つきの家庭訪問で把握している。いちょうでも9割近い子どもが 家庭では母語、学校では日本語を話している。

 A子どもは日本語を話し、母語を忘れていく。一方親は母語だけしか話せない。その結果、ちょっとした親子のやりとりをすることができない。

 ○子どもたちが年齢があがると母語で話さないのは、話せなくなるのか、それとも話さなくなるのか。

・思春期だからなのか、原因はよくわからないが、母語では 微妙なニュアンスが伝わらないからではないかと考えられる。中学生、外国につながる生徒26名のうち9割が読む力が小学4年レベル、書く力が小学3・4年レベルでとまっている。読む力は小5、書く力は小4・5が壁になっていて、それをクリアできれば中学校の学習についていけるようである。抽象的言語が身につかないため、思春期特有の思考ができないのではないだろうか。母語の維持はアイデンティティの維持に関わってくるものであり、学習言語の定着問題ともちがう深い問題である。

◎「全校TTについて」

  ○どうして全校TTができるのか。

           ↓

 効率化で分業すると、職員間でお互いのことがみえなくなり、知っていても言えなくなってしまう。それでは全校TTの体制は生まれない。いちょうでは担任ひとりでかかえこまないブロック担任制で子どもをみている。放っておけない、見過ごせないという職員集団の気持ちが全校TTへつながっている。

◎「 いちょうの体制について」

  ○全校児童820名のうち外国につながる児童が12名。来日1年未満の子が多く、学校の協力体制もなにもなく、また小中の意思疎通ができていないので困っている。

   @いちょうでは外国につながる児童が10名程度のころにどのような取組みをしていたのか。

   A4校体制はどのようにしてできたか。

                                      

@平成元年あたりから言葉の指導のために日本語教室が設置された。通常の授業と時間を調整しながら母語(ベトナム・中国・カンボジア)による日本語指導が行われている。学習言語習得のための国際教室とはちがうものである。校内での協力体制をつくるために、国際担当による校内研修を行ったり、日常的に職員室で外国につながる子どもたちのことを話題にしたりするのもひとつの方法である。

A子どもたちは同じ団地の子供会に所属しているが、ちがう小学校に通っている。子どもたちのことをもっと知りたいという子供会の育成者たちの想いから平成10年から小学校中学校の教職員を交えてのネットワークが立ち上がった。それが4校体制のはじまりである。

◎「夜の懇談会について」

○懇談会を昼の時間帯に行うが、働いている保護者が多いため個人面談状態になってしまう。個人面談も昼の時間帯に希望者のみで行っているが来るのは日本人の保護者のみで外国人の保護者は来ない。

                                      

・いちょうでも昼の学級懇談会は個人面談に近い状態になってしまうことがある。仕事をしている保護者にもたくさん参加してもらうために夜の懇談会がはじまった。

第2分科会「ボランティア・大学との協働」

第2分科会 記録

  コメンテーター :齋藤ひろみ(東京学芸大学国際教育センター助教授)

早川 秀樹(多文化まちづくり工房代表)     

コーディネーター:金子 正人(いちょう小学校)          

◎前半2−@ 「夏休み学習教室」 報告者:高橋 亨(いちょう小学校)

   夏休みの学習教室(2003〜)の開催の目的や内容実施方法についての説明、反省

○学校側

支援者の協力がなくてはできなかったであろう。普段の学級とは違う場で、自分のペースで学習を進めることができるうえにそれを見つめてくれる先生(役の大人)がたくさんいることでとてもよい学習空間になった。肯定してあげる場ができ、とてもよかった。準備は大変。

○ボランティア

学校という場で見る子ども達はボランティア活動の中で見せる姿と違う。学校の取り組みが見えることでボランティアとしての存在のあり方を考える事が出来た。通常の学校とは違う、また、ボランティアが用意する場とも違う夏休みの学習教室という場所で学校を通していろいろな子と知り合えたことも良かった

◎前半2−A 「親子の日本語教室」 報告者:小林 徳子(NPO法人かながわ難民定住援助協会事務局長代行)

・日本語教室の活動報告等

○親へのアプローチ

親として、子どもの通う学校の関心を持ってくれるように年間行事や連絡を教材として使う事もある。日本語の基礎指導と学校の教材(学校への電話連絡のしかた。学校の施設見学)をミックスして行っている。

○子ども

家庭学習の手助け(親の手が行き届かない現状)、読み聞かせ(日本語)教科の内容の補足

参加者から国際教室と日本語教室(学校)と放課後の日本語教室(地域のボランティア)との役割分担はどうなっているのか。という質問があったがそれはなかなか打ち合わせが難しくそのときの子どもの状況を見て必要なところをみてくださっている。どのようにリンクしていくのか今後の課題である。

◎後半2−B「言葉を育てる授業づくり」(大学との協働研究) 

報告者:森 愛子(いちょう小学校)

・支援者としての活動、概要

○学校

今までの指導の理論的な裏付けをしてくださる。学校で続けていく支え

○支援者

自分の持っている知識をその場で生かすには、常に生活で関わっている学校の先生の協力が必要不可欠である。現場での理論の再評価が出来る。検査→統計→発表の繰り返しで、子どもたちに貢献出来るのかという研究へのゆらぎがあった。学校に入り込むことで言葉の獲得の方法論を教えるのではなく、全人格的に時間軸の中で子どもをとらえてそのときに必要な言葉を教える事が大切なのだと思った。それが出来るのは協働だからこそ。

参加者からは外部の人間が入ることで外部評価にさらされる。ストレスはないのかという質問があがったが子どもが安心してよりよい学習をするために必要であると考え職員一同頑張っている。

第3分科会『母語や母国の文化を大切にした取組』

第3分科会 記録

                      コーディネーター 山脇敬造(明治大学教授)

◎前半 3−@A「上飯田中学校・上飯田小学校の実践」

報告者 小室美恵子(上飯田小学校)

                          伊藤  学(上飯田中学校)

外国籍・外国につながる児童が母国の文化を大切にすることができるように、子どもたちが自分の居場所をもてるようにとした取り組みについて報告された。上飯田小学校では、全校をあげカンボジアをテーマにした取り組み、上飯田中学校では、4校児童生徒交流会を初めて中学が会場となって取り組んだことや畑をかりて子どもたちと野菜を育てていることなどが報告された。

会場からは、カンボジアにつながる児童、周りの児童の取り組み後の反応について質問がなされた。また中学校の農作業については、居場所づくりとして興味深い取り組みであると同時に今農業が抱える後継者不足という問題へのヒントとなりそうだという意見も聞かれた。

◎後半3−B「親子の中国語教室」

   3−C「世界のお米料理を作ろう」

                報告者 福山 満子(いちょう小学校PTA代表)

                    山田  昭(いちょう小学校)

子どもたちが母語を話せなくなりつつある問題に対し、PTA役員が学校を会場に中国語教室を開催するまでの経緯や取組、悩み、ほかに獅子舞の取組についても報告された。また、総合的な学習を中心に世界の料理を作ることで文化の多様さにふれた活動について報告された。

会場からは、愛知県は、語学相談員が常駐し、外国につながる小学校3年生以上の児童のうち希望者が日本語について学んでいることや群馬県太田市では、日本語とポルトガル語のバイリンガルの教員が指導に当たっている拠点校があることが紹介された。また、いろいろな国の言葉を高校から教えるケースが多いが恥ずかしがってしまうためなかなか身に付かない。小学校からカリキュラムに取り込み教えていくことができないのかという質問があった。さらに、横浜市で取り組まれている国際理解教室は、英語教育に重点を置いているが、母語を大切にすることを考えると学校事情に合わせて学べる言葉を選択できるとよいなどの意見が出された。しかし、英語教育でも指導者を募るのが大変なため、他の国の言葉、特に東南アジアの指導者を集めるのは困難だろうという問題も話された。他にスピーチコンテスト、日の丸君が代の扱いについて質問があった。