はじめに

  今年の夏は、例年にない猛暑で、連日記録的な暑さが報じられました。

 本校では、夏休みに入り、学習教室と水泳教室が行われました。特に「夏休み学習教室」は、冷房のきいた「いちょうコミュニティハウス」で開催され、約半数の児童が参加しました。児童は、復習コースと自由コースに分かれ、大学関係者やボランティア等多くの方々にも支援をいただき意欲的に学習しました。支援者のきめ細かな指導をいただき、児童は充実した夏休みを過ごせたのではないかと思っています。

 さて、6月26日に行われました「多文化共生教育フォーラムinいちょう小学校」に多数のご参加をいただきありがとうございました。市内はもとより、埼玉、東京、千葉の関東周辺から、また、遠くは、愛知、岡山、長野、新潟、秋田の方面から、総勢で180名ほどの参加人数になりました。参加を分野別に見ますと、教職員、学生、大学院生、研究者、ボランティア、福祉関係、交流協会、教育委員会、行政、保護者、報道関係と多岐にわたり、色々な方々に関心をもっていただいたことがわかります。パネルディスカッション並びに分科会にも参加していただき熱心に討論に加わっていただいたことにまず厚く御礼申し上げます。

 今回のフォーラムは、今まで本校が、保護者、地域、近隣の小、中学校、保育園、幼稚園と連携、協力、協働して積み上げてきた「外国人児童生徒も日本人児童生徒も安心して通える学校づくり」の発信でした。と同時に、同じように多文化共生の学校づくりをめざしている全国の皆様と共に話し合い今後の取り組みにつなげていくことが最大のねらいでした。短い時間で十分な協議ができなかったことは大変残念に思いますが、皆様方からいただいた貴重なご意見を大切にし「いちょう小ならではの教育」に一層取り組んでいきたいと思います。

 この度、多文化共生教育フォーラムで協議された内容を、参加していただいた皆さんと共有していくために報告書という形で残していくことになりました。この報告書が、全国で多文化共生教育に取り組まれる皆さんの一助になればと思います。

 今後、全国的に外国人の児童が増えていく傾向にあると思います。そのことを、決して、困難と捉えるのではなく、これからますます国際化するであろう社会の潮流の中で、国際的な感覚や人材を育てていくこととして捉え、積極的に、「これからの多文化共生教育のあり方」を試行していくものでありたいと考えます。いちょう小学校では、内なる改革と、保護者、地域等外との連携、協働という形で様々な課題を乗り越えてきました。フォーラムを通じて「外国人児童も日本人児童も安心して通える学校」に一歩近づきつつある自信を得ました。この報告書をもとに、皆さんと語り合ったことを一層共有し、今後の課題解決に向けていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

校 長 金 野 邦 昭