おわりに


 今、あの土曜日の午後、決して交通の便がよいとは言えない場所にある本校に多数お越しいただき、蒸し風呂のような中で熱心な討議が進められたことを思いだしております。

 改めまして、ご参会の皆様から、温かい励ましのお言葉や本校教育活動への貴重なご意見を頂くとともに、多文化共生教育について皆様と語り合えましたことを心から感謝申し上げます。

 さて、ここで、フォーラムを通して私どもが皆様から頂戴いたしたことを振り返り、整理してみたいと思います。

 本校の教育実践を発信させていただいたことを通して、私ども自身が本校の教育活動を見つめ直し、その成果と課題を確認し合うことができました。

 ややもすると曖昧になりがちな活動と活動とのつながりを明らかにするとともに、学校内外における協力指導体制のより一層の充実に向けて共通理解を深めることができたことは、今後のいちょう小学校の教育実践・教育活動づくりに大きな力となるものと確信いたします。

 また、参加者の皆様と共に、地域という大きな枠組みの中で子どもたちを見つめ、教育を語り合い、育てていくことの大切さを実感し、想いを強めることができたことは大変有意義でした。

 次に、本校の教育活動・学校づくりに向けた今後の課題についても確認することができました。

 本校の抱える問題は、実に多岐にわたっています。私どもは今一度本校の子どもたちの実態や課題を分析・整理し、育てる子どもたちの力をさらに明確化・重点化していくことが必要です。

 重点化にあたっては、本校職員だけでなく、学習支援者やボランティアの方々、さらには幼稚園・保育園、中学校、「いちょうのまち」の方々と共に子どもたちの将来に目を向けて「育てるべき、いちょうっ子の力」について語り合うことが重要です。

 フォーラムを終え、改めて、日々の教育実践・教育活動を大切にしながら「いちょうっ子の実態に即した重点的・系統的・横断的に内容配列された教育課程(指導計画)の再編成」「より一層の全校TTを推進しながら、少人数指導をはじめとする多様な学習指導の工夫」に取り組むことが急務であるとの想いを強めています。

 日々の教育活動を大切にしていくには、実践・活動への理論付けをしていくことが重要です。そのためにも、「確認・評価」が為されなければなりません。「確認・評価」は、よりよい手だてを生み出すとともに、次なる新たな実践・活動を生み出す大きな力となります。

 今回のフォーラムが本校の教育実践・教育活動を確認し評価し合う貴重な場となったことは言うまでもありません。今後は、さらに「確認・評価」を大切にしながら、より価値のある教育実践・教育活動を創り上げていきたいと思います。

 また、「学校でなければできないこと」「地域ができること」「行政に期待すること」についても明確にしながら、「まち」とともに現状を1歩ずつ改善していきたいと考えます。そうすることが、子どもを育て、子どもたちの未来を切り拓くことにつながると信じます。

 今回のフォーラムを通して広がった多文化共生教育推進のネットワークを今後の実践・活動に生かし、つないでいきたいと願っております。相互に知恵と勇気と熱い想いを交歓・共有しあいながら皆様と共に歩んでいくことができれば幸いです。

今後とも本校の挑戦を見守り、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
                           

副校長 金山尚子