釜利谷小学校における器物損壊に係る指導プログラム

1.作成理由

横浜市教育委員会では、「平成15年度生徒指導上の諸問題調査」の結果をふまえ、新たに「児童生徒指導上の諸問題緊急対策プロジェクト」を設置し、調査結果の分析・ 暴力行為・いじめ防止対策等について検討を行ってきた。
 平成17年8月、プロジェクトから出された報告書の中に、児童生徒による器物損壊 に関わる部分がある。その実態を見ると「トイレのドアを故意に損傷させた」「補修を 要する落書きをした」など、児童生徒が故意に学校の施設設備を損壊させた割合は、全 暴力行為発生件数の中で大きな比重を占め、大変多くの破壊行為が行われている。
 本校においても、器物損壊の実態は何例か見られる。最近では、図書室のカウンターを蹴って損壊させた例もあり、他人事ではなくなっている。
 このような実態をふまえ、今後、このような器物損壊が行われないよう、児童自らと児童が所属するクラス(学年・学校・地域社会)の生活環境を守る意味や公共物を大切に扱うなど、公共心の育成の意味から指導していくことが一層重要となってくると考え、指導プログラムを作成することとした。

2.器物損壊を未然に防ぐ指導プログラム

器物損壊という破壊行為を起こす場合、大きく二つの心理が働いていると考えられる。一つは様々なストレスの発散として、また不安定な感情のはけ口として行われる「物に当たる」という心理、もう一つは理由のない、ただ、したかったなどという「遊び感覚」 という心理である。
これらのことを考えて、以下のような指導が必要だろう。

@ 日頃より機会あるごとに、物を大切にすることの意義を、例をもとに指導する。

A 交友関係などでいらいらしたときや、怒りたくなるときの心の処理の仕方を、日頃から子ども達に体験させておくようにする。

B 自分の理由のない、何気ない行為の実例をもとに、その行為の結果がもたらした様々な出来事について話し合い、対処の仕方を指導する。

3.起こってしまった器物損壊に対する指導プログラム

@ 児童の特定や行為の理由など、事実を正確に把握する。

A 児童の心情や人間関係、教育指導上の個別課題や背景を充分把握して指導を行う。

B 児童に自らが行った行為の意味を見つめさせ、その心情を整理して、反省の心情 を醸成する。

C 破壊行為によって影響を受ける人々やその生活、安全な校内生活の維持に努めている人々の姿、教育のために整えられた公共財産であることに目を向けさせ、社会性の育成に向けて指導する。

D 自らの行為の責任について自覚を促し、できうる限り影響を受けた人々や生活が旧に復するよう努力することが大切であることを理解できるように指導する。

E その理解に立って、関係者や管理者への謝罪、破壊場所の清掃や壊れた器物の補修、他のボランティア活動等によって、自らの責任を示し、反省の心情を行動につなぐことができるよう指導する。

F 保護者との連携を図り、児童が社会的な意味を実感できるよう協働して指導場面を工夫する。

G 補修活動や謝罪など、自己の責任を自覚した行動を評価し、新たな気持ちで快活な学校生活が送れるよう指導する。

H 当事者児童が、これからも快活な学校生活が送れるために、周囲の児童に対して共に支え合いながら生きていく大切さを指導して終了する。

4.指導の一貫としての弁済措置について

 児童の器物損壊について、指導の一助として保護者の理解の上で弁済を求めることは、児童に自己の責任性の自覚を促し、社会規範意識を育成する意味から教育的に有用であると考える。
 よって、以下の要領で弁済措置を導入する。
(1) 公正な校内手続きをふまえて執行できるよう、「弁済処置検討委員会」(運営委員会が兼ねる)を開催する。
(2) 客観的で正確な事実把握に基づいて、指導・弁済を行う。
(3) 弁済請求率を以下のように定める。

区 分 行為の様態 弁済請求率
1 「故意によるもの」 100 %
2 「重大な過失(故意に近いもの)」 50%
3 「不可抗力によるもの」 0%

*基準の決定に当たっては、当該行為の背景や児童の成長の様子などの教育的な配慮をふまえて弁済請求率を変動することができる。

5.付則

平成17年12月1日から実施する。