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抱きしめてこそ
学校長 熊田 松雄
「これがまさしく登校だな。」と、
学校の西門めざしての坂道を登りながらふと気づいた。
子どもたちもああだこうだとこころの折り合いをつけながら、この坂を登ってくるのだろう。どうか、子どもたちにとって自分の居場所でありますように、安心して学べる場所でありますように願ってやまない。一日の内で昼間の一番いいい時間をこの学校で過ごすのですから。
Aさんはよく忘れ物をする。今日は一つしか忘れなかったんだと自慢するぐらいだ。とてもよく遊ぶがめったにけがはしない。
Bさんはよく泣く。何が悲しくて泣くのか、理由はいくつもあるらしい。一見、気丈にみえる人ほど、ささいなことでさびしさを感じるのかもしれない。Cさんはお世話好き。自分のことはさておき、友達のことが気にかかる。ついつい口が出る。言われた方は癪のたねとなる。Dさんは物静かだ。困ってもなかなか自分だけでは動けない。あと半歩の勇気がなのに。
子どもは未完の大器だという。さまざまなタイプの子どもたちが集団の中で学び合ってこそ成長していく。だから学校の役割がある。だからともに学び合う仲間である子どもを持つ親として、『おたがいさま』の気持ちを大事にしていこう。子どもの成長には家族の愛情だけでなく、他人の愛情も必要らしい。学校にはそれが揃っている。わが子を愛するごとくわが学校の子どもたちを愛してください。
子どたちは一定の分量の愛情を必要としている。
子育ての手だてをあれこれ案ずる前に子どもは何
よりもまず、抱きしめてやる必要がある存在なの
だということを忘れてはならないと思う。なにか
とあくたれをつきながらも、子どもの方は親や先
生をどんな人よりも大好きでどこまでも慕っているのですから。 |