お 赤 飯 の 味                                      学校長 熊田 松雄 
 
 3月は、学校にとって、まさに年末。これぞ 師走”のまっただ中。
 いつも一年のしめくくりとなるこの時期に願うことがあります。     この一年間『この先生のもとで』『このクラスのみんなと』過ごせたことをどの子もが大きな喜びとして、ああよかったなぁと実感してくれるかどうかです。
 子どもたちをとにかく少しでもよくしていくのが、私たち学校の第一の仕事です。なんといっても子どもたち一人ひとりに具体的な力をつけることにあります。「文章をはっきりと読める力がついた。」「書く字がていねいになった。」 「苦手な鉄棒ができるようになった。」「勉強にも生活にもねばり強さがでてきた。」「わがままさがなくなって友達と協力するようになった。」等々   成長した証がどこかに目に見えるものがあるというのがいいのです。     「熱心に」「あたたかく」「子ども好き」は仕事人としては当たり前のことです。教師という専門職としての指導力によって、子どもたちを本当に磨き上げていくこと。しっかりと教えていくところに教師の値打ちがあります。目の前の子どもたちの成長した姿を通してこそ、信頼は生まれます。それゆえに、3月は学校にとっての総決算。教師にとっても厳しくもあり、また楽しみでもあります。 
 三十数年前、横浜の先生に決まったことを母に話したときのことを思い出します。うかれている息子をたしなめるように母は言う。『「先生」と呼ばれたら、それにふさわしい人になっていかなくてはいけない。「先生」は敬語ですよ。』 その日、母はお赤飯を炊いた。『今日は特別の日だからね』と言いながら。
 いまでもお赤飯を食べるたび、この言葉が返ってきます。先生と呼ばれるにふさわしい人になれたのかどうか。お赤飯の味には、ときおりしょぱい味がします。                                 3月20日、六年生128名が本校を巣立ちます。特別な日です。お赤飯にどんな言葉を添えて、門出をお祝いしますか。               本年度も温かなご理解とご支援をいただきましたこと心より感謝いたします。