霧が池の伝説   地域へ戻る   トップへ

 奥まった静かな所に,雑木や草が茂り,永い年月にわたる土砂の流入によってできた,あまり水のない泥沼がありました。それが,霧が池です。
〜雨ごい編〜

 霧が池には,雌の大蛇が住んでいて,一日に七たびも水の色を変えて,村人を不気味がらせていました。ある夏の日,一人の旅人が通りかかりました。「おお涼しい所だ。一休みしよう。」と,そばの丸太に腰をおろした時,丸太がぬっと動き出しました。「だ,大蛇だ!」旅人は,真っ青になって逃げていきました。
 その夜,宝袋寺の山門を,美しい娘が入ってきました。
「和尚さま,私は霧が池の主でございますが,きょうは恥ずかしい姿を見られてしまいました。これ以上あの池に住むことはできません。今から去っていきますが,心残りは村の用水のことです。私のなきあとは,祠をたてて,わたしをまつってくださいそうすれば池の水が涸れることはないでしょう。」娘はそういうと,姿を消しました。このことをきいた村人たちは,池のほとりに弁天社をたてて,大蛇の好きな「たまご」を供えておまいりしていたところ,どんなに日照りが続いた年でも,霧が池の水は涸れなかったといいます。
〜霧が池弁天社での雨ごい行事〜
1770年(明和7年)長津田の大林寺の和尚が導き,行う。
1771年(明和8年)農民が感謝をこめて,石祠を造立。
1821年(文政4年)4月23日より7日間,雨ごいを行う。この時も大雨が降り,霧が池の名は有名になり,おまいりする人が増えた。縁日にはたいへんなにぎわいとなった。
〜お金持ち編〜
 霧が池の主は,江戸の洗足池の主を愛し,女の姿に身をかえて会いに行っていました。 ある夜,十日市場の男が,馬を引いて江戸へ出かけました。用事を済ませた帰り道,洗足池のところで,美しい娘が「十日市場まで行きたいのですが,馬に乗せてくれませんか。」といいました。男は「どうぞ,お乗りください。」と娘を乗せてあげました。
 十日市場へ来た時,娘は「ここで降ろしてください。ありがとうございました。これは,ほんのお礼です。」と三枚の小判をわたしました。男はたいそう喜び,家に帰ってみると,小判は蛇のうろこになっていました。
 男は,「蛇は水神さまのお使いだ。そのような蛇のうろこを粗末にはできない。」と思い,神棚にまつって,毎日,朝・夕とおがんで働いていると,村一番の大金持ちになったそうです。

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