編集・発行:霧が丘第三小学校
2月号-1
副校長:上地 孝明
 

コーチングの技術で子どもの潜在能力を

 親業というのは、なかなかむずかしいものです。例えば、あなたのお子さんが、高校受験を控えた中学3年生だとしましょう。進学校として実績の高いA高校を目指していたところ、願書提出の間近になって、その次ランクのB高校に変えようか迷いだし、「A校をやめて、B校にしようと思うんだ」と言ってきました。さて、あなたはなんと答えますか。
  「なぜ? どうしたの?」「えっ?!今頃何言い出すの」「自分のことだ。好きにしなさい」「今さら何言ってるんだ。ともかく勉強しろ」「心配しなくても、あなたならA校に受かるわよ」質問型、非難型、肯定型、命令型、激励型…。親としてのあなたのセリフはどんなでしょうか。
 今度は逆に、子どもの立場になったら、親のその答えを聞いてどう感じるか想像してください。「なぜって言われても…」「今だから相談してるのに」「不安だから言ってるんでしょ」「勉強はするよ、でも…」「そんな楽観的になれないのに」どうも子どもにとっては、ある種の距離感を感じさせる返答ばかりのようです。
 実はこれは、「コーチングの技術 上司と部下の人間学」(菅原裕子著講談社現代新書)という本に書かれていることです。なぜこのような親と子の溝ができてしまうのでしょうか。本の中ではこのように説明しています。
 親には「本来の子どもの希望にそって、第一希望のA高校にいかせてやりたい」という思いがあります。その本音がおのずと出て先ほどのような言葉になってしまいます。しかし「子どもが進路の変更を申し出たとき、親が最初にすべきことは、子どもの真意を理解することです。子どもがそう告げる本心は何か、そのことを言い出した背景は何か。そのとき初めて、子どもの側にも親の気持ちを理解する余裕が出てきます。このことを理解しない限り、物事を前進させることはできない」というのです。
 では、この場合、親はどんな対応をすればいいのでしょうか。筆者は一つの例としてバックトラッキングという手法を紹介しています。これは相手の話からキーワードを見つけ、そのキーワードを繰り返す質問方法です。「A高校にするって言ってたよね。B高校にしたいのか」自分の言葉を繰り返されると、子どもは理解されたと感じ、自分の本音を語りやすくなるのだそうです。コーチングとはある人が最大限の実績を上げるために、その人の潜在能力を開放することだそうです。
 親は子どもへの思いが強いため、かえって潜在能力を閉じ込めてしまうことにもなりかねないのです。これは親だけでなく教員にとっても同じことでしょう。2月「逃げる」3月「去る」と瞬く間の2か月。子ども一人ひとりが最高の実績を残せるよう、しっかり取り組んでいきたいと思います。


  新一年生保護者説明会を2月4日午後3時から行います。


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