新年度から始める並三小の「二学期制」について
                                   平成16年2月2日
                                 横浜市立並木第三小学校
 
 平成14年度より学校週五日制がスタートし、授業時数の減少とともに教育内容も厳選されました。一方で、基礎・基本の確実な定着を図るとともに、一人ひとりの個性を生かすための教育を推進していく必要もあります。そこで一人ひとりの児童に応じたきめ細かな指導を行い、ゆとりある教育活動を行うための一つの方策として「二学期制」が考えられるようになりました。横浜市でも試行校を中心として「二学期制」の研究と実践が行われています。
 現在の教育課程のねらいである、「児童に自ら学び考える力」など「生きる力」をはぐくむためには、児童に時間的、精神的な「ゆとり」が必要となります。そのためには、現在の一年を細かく3つに分ける「三学期制」よりも、大きく2つに分ける「二学期制」のほうがより効果的であるとの結論に至ったため、横浜市でも「二学期制」導入を推進することになりました。
 また新たに創設された「総合的な学習の時間」をはじめとした問題解決型の学習が推進されており、そのために継続した学習計画を作成する必要から、学期のスパンを長期化することが望まれて
います。                    

二学期制」導入に至るまで
学校五日制による授業時数の減少  
基礎・基本の確かな定着を図る
時間的・精神的なゆとりの必要性
横浜市立小・中学校で「二学期制」導入
継続した学習計画

@ 六日制実施時    242日
A 土曜一日休業    230日
B 土曜二日休業    218日
C 完全五日制      199日
(六日制実施に比べて43日減:約200時間)

 
 本校でもこのような流れを受けて、児童のため「二学期制」の「よさ」を積極的に取り入れ、より確かな学力が身に付くように教育活動の更なる充実に努めていきたいと思っています。また並木中学校では既に「二学期制」を導入しており、小学校・中学校9年間の継続した学校教育の視点から見た場合、小学校・中学校の一体的な対応が望ましいと考えました。また同じ中学校区にあって進学する児童の不安感を解消することも必要です。このような理由もあって、平成16年度以降、本校でも「二学期制」を導入することにしました。

 「二学期制」のよさって何ですか? 
@「二学期制」になるとこれまでと比べ各学期の期間が長くなり、ゆとりの中で学習や学校行事に 取り組めるようになります。
A 始業式、終業式が2回減ることや7月と12月の時期にゆとりができ、授業や学校行事に集中 して取り組むことができます。
B 授業時数の少ない教科(小学校では、音楽、図工、家庭科)や総合的な学習の時間において、 より長い学習期間が確保でき、児童の学習の確かな見届けができるようになります。

ゆとりは生まれるのですか?

始業式や終業式が年6回から4回へ
短縮授業日の一部廃止
         ↓
   授業時間数の増加
・授業や行事に振り向けることが可能
・基礎基本に重点をおいた学習活動
・個別にかかわる時間が生まれる

 
  「二学期制」になると学期の区切りが10月初旬となることから、これまでの「三学期制」と比べ始業式や終業式が年6回から4回に減るとともに、あゆみも年3回から2回となります。始業式、終業式の回数が減ることで授業時間数が生み出されるとともに、これまで成績業務や面談のために、午前授業や特別日課となっていた7月、12月も5校時まで授業をすることができるようになります。これらのことから生じた時間を授業や学校行事に振り向けることで、基礎・基本に重点をおいた学習や、主体的な活動が可能となるとともに、教師が児童に個別にかかわる時間も生まれます。
 

あゆみはどうなるのでしょう?
     評価期間の変更
一学期 70日    前期 100日
二学期 80日    後期 100日
三学期 50日
    ↓       ↓
   年 2 回 の 評 価
 短いスパンから長いスパンの評価
 
より確かなひとり一人の児童のみとり
 小学校・中学校においては、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)が導入されました。この評価はこれまでの集団における個人の相対的な位置を評価するいわゆる相対評価とは異なり、一人ひとりの児童にきめ細かな指導を行うことを目的にした評価です。知識理解の観点からのみ児童を評価するのではなく、興味や関心、思考力や判断力、技能や表現力の観点からも確実な基礎・基本の定着をめざしていくものなのです。
 そのためには、短期のスパンによる学期の区分ではなく、長い期間においてより多くの評価資料を基にして、評価を行っていく方がよいと考えます。絶対評価は各科目、単元ごとに学習の到達度を評価する方法で、教師が十分な時間と客観的な資料に基づき児童の学習の様子を正しく評価する必要があります。「二学期制」になると、各学期が100日程度と長くなるため、配当授業時間数の少ない教科についても確かな見届けができるようになります。さらに「総合的な学習の時間」などにおいてもじっくりと時間をかけた計画的な取組ができるようになることから、「評価」の信頼度が高まるものと考えています。
 

あゆみにかわるものはありますか?
 
  7月と12月・個人面談の実施
    
 学習の様子
     生活の様子
     行動の様子
    
 長期休業中の課題
 
(状況によっては三者懇談の場合も)
 これまでのように夏休みや冬休みなどの長期休業に入る前にあゆみは示されませんが、長期休業に入る前の7月と12月に個人面談や教育相談を行い、それまでの学習の様子や生活の様子、さらに休み中に取り組むべき課題などについての説明や懇談をします。この懇談の充実によって児童が長期休業中も意欲的に課題をもって学習できるようにしたいと思っています。
 

学びの連続とは何でしょう?
     児童の主体的な学びの姿が連続すること
  長期休業期間は学期の途中
 夏休みにはサマースクールを実施
  ●水泳指導 
  ●基礎・基本の定着(復習)
  ●総合的な学習の継続など
  ※詳細については次年度計画
 長期休業期間に取り組みたい学習活動について事前に相談します。
また基礎・基本の確かな定着に向けて、希望者のためにサマースクールを開校し、補習を行います。子ども一人ひとりの課題に基づいて、これまでの学習の復習や発展的な学習に向けて対応できるようにします。
 今までは学期の終わりに終業式があり、夏休みは家庭や地域でという考えがありましたが、学校が軸となって、夏休みは前期の途中、冬休みは後期の途中と考え、サマースクールなどの実施により、学習をつなげていきます。(サマースクールでの学習内容などは、次年度お知らせします。)
 

行事はどうなるのでしょう?
 今まで三学期に分けて組まれていた行事を「二学期制」の枠で組み直しました。学校行事の見直しを図ることは、教育活動全体を改善することになると考えます。
例えば、運動会を9月18日頃に行った場合、9月に入ってから準備していたのでは間に合わないため、準備は7月から始めることになります。応援の打合せをサマースクールで行うなどといったことも想定されます。一方、子どもフェスティバルに向けての取組も夏休み期間の学習と絡めて進めることも可能です。
 つまり、今までは各学期ごとに組み込まれていた行事を「二学期制」にすることで休業期間も含めて、年間を見通して長いスパンの中で並べることが可能になります。
  


授業時間はどうなるのでしょう?
   現行3年生月曜日5校時   
   現行4年生以上の5校時  
  
1モジュール(15分)×4=60分
     60分授業を廃止します  
        ↓
  1単位時間を45分授業に
 
 4年生以上:木曜日は6校時授業
 「二学期制」の導入により授業時間数が増加します。給食実施期間の延長、始業式・終業式が減少、学力検査や家庭訪問期間の5校時授業などにより6年生では10時間程度増加します。一方、16年度から今まで行っていた5校時60分のモジュール制を廃止し、1単位時間をすべて45分授業に戻します。そのままですと、授業時間数が減りますので、4年生以上は木曜日を6校時授業として1時間増やします。つまり4年生はクラブのある火曜日と木曜日が6時間授業、5・6年生は火曜日、木曜日が6時間授業となります。またクラブや委員会活動のない火曜日も5・6年生は6時間授業となり、指導要領で定める標準時数(6年生:945時間)をクリアーしています。