〜いま学校に求められること〜

保護者と地域のねがいに応え,共に子育てをしよう

 「子は宝」と言われる。それは親にとってだけでなく地域社会にとっても,かけがえのない子どもへの期待を表す言葉である。学校はそうした親や地域の期待を受け止め実現させていく場である。
 しかし,受験競争や学力問題,地域社会の共同体意識の希薄化などによって子育ての不安や孤立化も見られ,それらが学校への様々な要求や期待とともに時には学校不信となって現れている。これらは,学校だけで解決できるものではないが,学校はその切実で緊急な課題を真摯に受け止め,保護者・地域の人々と共同し支え合っていく取り組みを進める必要性に迫られている。
 これまでの本校の教育活動を振り返ると,様々な形で保護者や地域との結びつき,教育活動への支援と共同活動が生まれている。今後それらをさらに発展させていくことによって「地域に根ざし地域から信頼される菅田小学校」を創っていくことが求められているし,その可能性は十分に存在している。

社会の変化を察知し,創造的な教育活動を進めよう

 情報・通信技術の急激な発展と広がり,経済活動や環境問題などに見られるグローバル化,個としての存在が重視されるような社会等へと急激に変化する時代のなかで,人々の生活や考え方も大きく変わりつつある。それらは,必ずしも人々の幸福に結びつくものではないのかも知れないし,戸惑いも生まれている。
 しかし,このような変化を押しとどめることができない以上,未来に生きる子ども達は,それを自らの手でしっかり掴み,状況に流されるのではなく,連帯し共同しながら主体的に生きていく知恵と行動力を育てていくことが求められている。その意味からも「平和的な国家及び社会の形成者として」「自主的精神に充ちた」子どもを育てようとする教育基本法の精神(前文及び第1条教育の目的)がますます重みを増しているといわねばならない。
 こうした状況を学校は敏感に受け止め,それに応え得るような新たな教育を創造して行かなくてはならない。

菅田の子ども達へのねがい

 これまで菅田の子どもの理想像として「自ら学び実践する子」という学校教育目標を掲げ日々教育活動に取り組んできた。この目標を今日の社会と子ども達の状況に沿って検討するなかから,さらに発展させ「自ら学び共に未来を創る子ども」という学校目標に結実させた。
 その背景には,先ず第1に,子どもが真に学びの主体者となるような学習を実現させたいという強いねがいがあった。それは,知識・技能・思考等の能力を身につけるだけではなく,今日,子どもにとって「学びの意味」が見失われていくなかで,もっと本質的な学びの面白さや意味を体験的にも感じ取り,学ぶことと生きることが一体となるような学びを発見してほしいという今日的な課題から生まれたものである。
 第2に,子ども達がみんなで共に力を合わせていくことによってより大きな喜びを手に入れてほしいというねがいがあった。子ども達の生活の場である「地域」が共同体としての力をなくしつつあるなかで,競争や孤立化が進んでいる。しかし,日々の身近な生活から始まって今日の平和や環境問題に至るまでどれ一つとして共同することなしに解決することはできないものばかりである。そこで,学校という共同体のなかで身近な友達と共同の輪をつくり,それをより広く地域の人々にまで広げていくような体験を積み重ねることによって,連帯し共同していく能力を培っていってほしいというねがいが生まれたのである。
 第3に,こうした学びの体験が積み重ねられることによって,新たな困難に直面してもその課題を引き受け,多くの人々と共同しながら前進していくことができるようになるならば,そのことによって子ども達は自分達の未来を確実に手にすることができるようになるであろう。子ども達が自分と社会(世界)との関係をどう創っていくことができるのか。そのための支援をしていくことが強く求められている。
 このようなねがいから学校教育目標が生まれたが,さらにそれを3つの側面から捉えることによって,より具体的な教育課題として設定することにした。それが?@自立をめざす学び(自分づくり)?A参加と共生の生まれる学校(仲間づくり)?B未来を創る子ども達(世界づくり)である。
 このことは,また,子ども自身にとっては,個としての自分づくりから始まって,友達との交流を通じて他者を認識し自分と友達の関係を創り上げるなかから,より客観的に自他の在り様を見つめることによって世界観を獲得していくという個人の成長過程としても捉えることができる。
 最後に,この課題を実現していくために「子どもの学びと成長を促す指導」という教育活動上の重要な観点を明確にした。これは,全教職員が協力し,日々創造的な実践研究を積み重ねていくことによって実現されなければならないものである。特に,学校教育への様々な課題が指摘されるなか,独創性を持って迅速に改革への取り組みを進めることが求められている。

ありのままの子どもを共感を持って受け止めよう。

 菅田の子ども達は,明るく優しく素直である。しかし,今,子ども達の健やかな成長を阻害する数々の困難な課題が生まれていることも事実である。それは菅田の子ども達にとっても同様である。学習意欲の低下,自信のなさ,未来への不安など否定的な子どもの状況が指摘され,子ども達が伸びやかに成長していくことは,とても困難な状況にあるといわなければならない。
 しかし,それらは,子ども達に責任があるのではない。子どもは社会の子どもであり,その時代の社会状況に強く影響されながら育っているのである。従って,子どもを社会との関係において見ることによってその真の姿を捉えていくことが必要である。そうすれば,一見否定的に見える子ども達の行動のなかにも次の時代への萌芽を見ることができるであろう。
 そうした視点を持つことによって,子ども達の力強い成長のエネルギーが見えてくる。例えば,学習意欲の低下が問題になっているが,これまで学校で勉強するのは当然のことと思われていたことを,今,子ども達はより本質的なところから「なぜ学ぶのか」を問い始めているのではないだろうか。また,忍耐力がなくなっているという指摘もあるが,意義を見いだせないのになぜ我慢して努力しなくてはならないのか。大切な自分の時間をもっと意義あるものに使いたいという自己発見の欲求という側面から捉え直すことによって子どもが見えてくることもある。
 今,子ども達の否定的な側面にとらわれて子ども達を表面的に見てしまうならば,子どもたち自身の力を信じることができなくなり,子ども達の自己形成を支援していくことはできなくなるであろう。子ども達をより深く理解することによって,子どものなかに潜んでいる逞しいいのちをまっすぐに伸ばしていきたいと考える。既成の概念で子どもをとらえるのではなく,より深く子どもに寄り添いながら子どもの願いを汲み取っていくような発想の転換が求められている。

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