〜「丸中だより」

一月号


日本の伝統文化に学ぶ

 新年が明けて2週間が過ぎました。遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて学校の始まった十日、お招きをいただいて警察の「武道始め式」という行事に参加しました。市民を守るために、日々剣道や柔道の技を磨いている若い警察官のみなさんが、その鍛錬の一端を市民に披露するものですが、厳しい寒さの中、三時間にわたって柔道、剣道、逮捕術の試合が行われました。中でも、五段者が他の有段者五名と次々に対戦する形式の試合では、道場の空気を変えるものすごい集中力、スピード感、技のキレなど、相手の一瞬のスキも見逃さずあっという間に勝負を決めていくその強さと技の美しさに圧倒されました。本当に「美しい」としか言い様の無いみごとな技で、しかも五人もの人と次々と対戦したのに息一つ切らすことなく、それこそ日頃の鍛練の賜物であることをうかがい知ることができました。
 また、他にも深く印象に残ったことは、「礼に始まり、礼に終る」姿です。始める前の礼は「よろしくお願いします。」というあいさつの礼であり、後の礼はお互いの健闘をたたえるとともに、「私と戦ってくださってありがとうございました。」という感謝の気持ちを尽くした礼なのでしょう。勝っても負けても、試合が終わると乱れた胴着を整えて、深く礼を交わし合う姿はすがすがしく、柔道や剣道など日本の伝統的な武道が、強くなるための技術だけではなく、人間としての精神や生き方を教えるものであるということを改めて感じた武道始式でした。
 一方、学校で行っている授業開始時と終了時の礼は単なる形、惰性になっているのではないかと反省。「礼に始まり、礼に終わる」精神を大切に、教える方も教わる方も「よろしくお願いします」という気持ち、また「私の授業を受けてくれてありがとう」あるいは「教えてくださってありがとうございました」という心を込めたものにできればどんなにすばらしいだろうと思いました。「礼」という形に魂を入れる・・・先生も生徒も、そこから授業に対する意識や取り組み方に変化が生まれるかもしれません。「失礼」や「無礼」という言葉は、「礼」があって初めて成立する言葉であり、「礼」を教え示していくのは大人の責任だと改めて感じました。
 書き初め展、百人一首大会など、本校でも年頭の伝統行事が行われました。体験しながら、生徒たちも何百年も長く続いてきたものにはすばらしい宝があることを学んだことでしょう。百人一首一つとっても、よくあんな知性的な遊びを考え出したものと、先人の教養の深さに驚きます。そうした驚きや発見がまた、次の世代に伝統を伝えていくことにつながっていきます。いよいよ三年生は受験本番ですが、心を落ち着けて実力を発揮してください。一、二年生は進級に向け自分の立場を自覚するとともに、目の前のやるべきことにしっかり取り組んでいきましょう。
(学校長 谷 紀代)