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横浜市立盲学校図書館の概要 横浜市立盲学校図書館 2000.07.09 見学者資料より:図書館司書 渡辺浩子(元司書 石井みどり)著
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1.概要
(1)本館の対象者の多様性
視覚障害
本校の図書利用対象者は、個々の障害の程度により、見え方の異なる子どもたちや未就学の子どもそして中途失明の教員・生徒また、学域も、市内外に渡り、教職員・保護者・卒業生および市内外の見学者と多岐にわたります。
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盲学校図書館入り口 |
盲学校図書館新刊コーナー |
(2)蔵書の部門の多様性
絵本・医学書
小学部・中学部・高等部の基本図書
三療師の職業教育関連図書
(3)媒体の多様性
・ 活字図書
・ 拡大図書(手書き 拡大プリント 電子図書)
・ 点字図書(点字用紙 データ)
・ 点字 点図 点字絵本
・ 指で読む絵本
・ 録音図書(カセット CD・デイジー図書)
・ 電子図書(百科事典 辞書 電子ブックCD・DVD等々)
・ コンピュータ利用
・ 電子図書館(点字データの利用)
・ 通信・NETWORKの利用(資料検索)
・ 校内ネットワークの利用54箇所(データ検索・掲示板・メール)
・ 盲ネット・ナイーブNET等外部ネットワークの利用(外線)
・ インターネットの利用
横浜市企画局高度情報化128KB接続(青空文庫・文献検索(無料・有料))
・対面朗読
2.運営
(1)専任の職員 1名
(2)校務分掌(各学部より約6名)
(3)ボランティア(20団体)
(4)公共図書館との連携
国会図書館視覚障害サービス
横浜市神奈川図書館との連携
県立神奈川図書館
横浜市立大学医学部図書館
(1) 各教科・学部(図書館時間を設定)
(2) それぞれの教育課程の中での利用
(3) 遊び 調べ学習 受験勉強 国家試験対策
(4)生徒図書委員会
(5)その他
4.課題
(1) 障害の重度重複化
(2) 弱視児童・生徒(専攻科も含めて)のための資料の整備
(3) 専任の司書教諭の複数配置を。
図書資料は殆ど自館制作
(4) ボランティア対応
(5) リファレンスの多様性
(6) 点字図書館管理ソフトの導入
(7) 個人情報の保護
(8) 貸出、統計、蔵書管理他
(9) 校内LANによる情報の提供
(10)外部ネットワークとの接続
盲ネット、ナイーブネット、nifty
5. 現 状
(1) 学校の概況
(2) 学級数 32学級 生徒数112名
(3) 図書館の設備(面積240?)
閲覧室 準備室 空調設備 洗面設備
他に 対面朗読室(視聴覚室と共用)書庫(教材資料室と共用)
(4) 図書館の設備・備品
電話回線(2) ISDN回線(1) 複写機(1) 拡大読書機(5) 高速ダビング機(1)消磁機(1) 製本機(2) デジタル音声読書機(9) 録音機(4)集密書架(2) コンピュータ(ノート6台ディスクトップ5台)
通信(盲学校点字情報ネットワーク NIFTY-Serve)インターネット
(5) 蔵書冊数(15,189)
活字図書 12,792冊
拡大図書 596タイトル
点字図書 1,801タイトル
録音図書 6,747巻
その他 ビデオ CD
6.メディア媒体
媒体は普通文字(墨字),点字,音声,拡大図書,CD等々、資料は、触って読む,聞いて読む,拡大して読む等の、様々な工夫で提供しています。
(1)点字図書
点字は、6つの凸の点の組み合わせによる表音文字です。触って指を動かしながら読む動的な触読文字です。点字図書は非常にかさばるので、量的には図書館の大方を占拠していますが4,000タイトルほどしかありません。点字だけでなく、図形や表などを、立体コピーや、発泡インクを使って触図を作っています。
(2)録音図書
音声訳されている、いわゆる録音図書(カセットテープ等)も補助的な物として有ります。録音図書は気軽に読めますし、視覚障害者の情報源として確立した媒体となった今、録音図書の蓄積は、全国的にもかなりの量になっています。
また、最近は技術の進歩と共にデイジー図書が各地の公立図書館に配置されています。(貸し出し可能タイトル相当数)
(3)対面読書
空き時間に対面朗読のサービスを行っています。地域の朗読ボランティアさんが決められた時間に学校へ来てくださって医学、雑誌、新聞、小説、時には、CDの歌詞カードを読んで戴いたりということもあります。
(4)普通文字の資料
本校の約半数の生徒は、ルーペを使ったり、拡大読書器を使って普通文字の図書を利用することができます。照明が明るすぎるとまぶしくて読めなかったり、ということもあります。
(5)拡大図書
拡大図書に関して、図書館で一番利用されているのは、拡大コピーです。図書館の拡大複写機は、資料の拡大については自由に利用できるようになっています。リファレンスサービスは、生徒の見やすい大きさに拡大コピーして渡すところまで、と、なります。つい最近までは、拡大図書は、ボランティアによる手書きに頼っていました。しかしながら、弱視の生徒たちは、一人ひとり見え方が異なり、特定の生徒にとって見やすい拡大図書でも、次の生徒には活用できないことが殆どです。文字をワープロで入力し、拡大文字、ゴシック体で印字して、一人ひとりにあった拡大図書を作れるようになりました。但し、著作物をデータ入力する行為は著作権法に触れますので、著作権者の許諾が必要です。
(6)コンピュータ
Windowsパソコンで画面を音声で読み上げることが出来ます。全校どのパソコンからもインターネットを利用して、新聞情報やラジオ・TV情報がは当日のうちに得られるようになりました。(99年9月校内ネットワーク完成)様々な情報を通信で得られるようになった ことは有り難いことです。視覚障害者がパソコンで、点字入力のワープロソフトを利用して、音声で確認しながら、紙の上に普通文字を書くことができるようになって10年以上もたちました。そして、近年、視覚障害者にとって、歴史的な事件がありました。それは、紙に書かれた文
字を、音声で読み上げ、テキストファイルに落としたりできる「視覚障害者用朗読システム」(よみとも)を企業と協力して本年度ソフトウェアが完成しました。視覚障害者が独力で文字を読むことの手がかりができました。
パソコンの別の利用として、点字をピンディスプレイで読めるようになりましたから、フロッピーディスクで借りてゆく生徒も出てきました。
また、全校でインターネットがどのパソコンからも利用できる環境が整い、ニュースなどのマスコミ情報も音声で得やすくなっています。
(7)電子ブック
医学事典、国語辞典、英訳・和訳辞典、「現代用語の基礎知識」等など、かなりの出
版物があり、点字入力で検索し、音声で利用しています。
情報が電子化されていれば、自動点訳することもできます。
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図書室内PC15台(D5 ノート10台) デイジー再生機10台 |
職員室内環境 |
7.今抱えている課題
1. 障害の多様化に応じた図書資料整備
一人ひとりの見え方が違います。色弱の生徒もいます。学年に応じた教科学習のできない生徒もいますが、生活年齢に応じた資料を提供したいと思います。視覚障害につい
て全く手だてを受けないで、中学部、高等部 に入学してくる生徒もいます。
墨字も点字も読めない中途失明者。視力が急に低下して文字を読めなくなってしまう生徒もいます。
2.図書資料の不足。
普通文字の書籍は、一週間に数千冊の発行があります。けれども点字図書は、年間で数千冊の単位でしか発行されません。録音図書もしかりです。自然科学にしても、社会科学にしても、点訳の難しい分野は、最初から点訳を諦めてしまっていたりします。印刷技術の向上が逆に見えにくい生徒たちに苦手な図書が増えています。カラー印刷が増えたこともありますが、飾り文字だとか、文字が小さいとか。理療科では医学書を読まなければならなりません。現在、出版されている図書のほとんどが印刷の段階で電子化されているわけですから、視覚障害者には電子化された媒体で提供して欲しいものです。
3.パソコンの情報は、テキストで
視覚障害者の世界に、世界中の英知を結集し、現在はインターネットへもアクセスできるようになりました。しかしながら、情報が映像である限り音声化することはできません。ホームページの情報は、テキスト情報も添えて有ると有り難いです。
8.おわりに
読書の権利は、極めて個人的な権利ですから、居心地が良く、いつでもリファレンスサービスを受けられ、教育課程の展開に応じた図書資料の整備がなされていて、調べたいことが分かり、子どもたちの興味に応じた資科があれば魅力のある図書館になることでしょう。