一人ひとりを大切に!
養護教諭

 横浜市立の特別支援学校は全部で12校あります。視覚・聴覚・知的・肢体不自由の障がいがある幼児から成人までの児童生徒が在学しています。各校、障がいの種類や程度が大きく異なる子どもたちの実態にあわせた保健室経営を23名の養護教諭が行っています。
 現在、横浜市には小・中・特別支援あわせて504校、563名の養護教諭が横浜の子どもたちの健康教育を推進しています。
 9年間の小学校の勤務を経て、再び養護学校に着任して思うことは障がいの重度重複化が進んでいる子どもたちのケアを行うために、かなり高度な技術と医学的知識が要求されることです。小・中・高校の児童生徒にそれぞれの健康課題があり、ニーズに応じた養護教諭の自己研鑽は校種が違っても必要なことですが、職務内容に、より医療的な要素を占めていることは否めません。そして、もう一つは特別支援学校の学校保健活動について、同じ養護教諭でも、十分に周知されてはいないことに愕然としました。横浜の養護教諭として、校種にとらわれず養護教諭間の交流を深めるために、横浜市養護教諭研究会の役員の立場から、あらゆる機会をとらえては特別支援学校のことをアピールしてきました。
 よく尋ねられることは、「大変でしょう?」「学校で何をしてるの?授業はどうしてるの?」養護教諭であっても、同じ横浜の子どもを理解しようと努力する前に、「かわいそう」という哀れみが見え隠れして、残念な思いをしたこともしばしばでした。実際に子どもたちと関わってみれば、そんな懸念は一瞬のうちに消え去ると思うのですが・・・。もっともっと中村の子どもたちを知ってほしい、特別支援学校のことを理解してほしい気持ちでいっぱいです。
 医療的ケアを必要とする特別支援学校の養護教諭は、担任や看護師と連携を図り、主治医や専門医からの指導助言を確認しながら、支援の方向性やそれぞれの役割分担をコーディネートする機能がよりいっそう求められると実感しています。医療的ケアをはじめとする健康上の課題のある子どもの支援には、養護教諭が養護の専門職として積極的にリーダーシップをとることが望ましいと思います。特定のクラスを担任しない養護教諭は、学校全体を見通せる立場にあり、また一人の子どもを何年にもわたって見守ることもできます。一人ひとりの児童生徒を守り育てる仕事をしながら、健康に関する問題の校内の取りまとめ役となり、教育側の窓口の一つとして医療や福祉との橋渡しをすることで、子どもを取り巻くチームがよりよいチームワークで結びつき子どもたちの健康や教育を保障していくことになると考えます。

 看護師との協働においては、教育という学校で育まれた文化と、医療という中で育ってきた文化、それぞれの文化に違いはあるけれども、うまくつないでコミュニケートしていくことが養護教諭の務めだと考えます。養護教諭は学校保健の要であるということを自覚し、子どもたちのために、子どもたちの幸せのために、専門性をお互いに尊重しながらも役割分担ではなく、相互乗り入れしながらお互いのチーム形成ができるよう努力していきたいと思います。
 私も大学で看護学を学んで、上菅田養護に配属が決まった時には、看護を教育の場で生かせると希望で胸がふくらんだものです。その頃の私は何も知らず、障がい児(者)に対して何かをしてあげたいと思う人間でした。そんなおごりは、着任し、あっという間に打ち砕かれました。
 子どもたちにしてあげることなんて何もないと、今は思います。彼らの方がもっと強くたくましく生き生きと輝いています。養護教諭でありながら、私はいつも子どもたちにパワーをもらって今まで仕事を続けてきました。そんな子どもたちに、ほんの少しでも返せるものが何かないかと模索しながら毎日を過ごしています。
 これからも一人ひとりを大切に、自分にできることは何か、日々探していきたいと思います。