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“チームのチカラ” 中学部担任 私が中村に転勤してきたのは、もう7年半も前のことになります。中学校から養護学校(現、特別支援学校)に移ってきて驚いたことは、「担任」という立場の違いでした。中学校では「担任」とは一つのクラスを担当する一人の教員を意味します。複数で担任したとしても、主になる人ははっきりとしています。クラスの運営に困ったとき、同じ学年の他クラスの担任や学年主任に相談したり、フォローして貰ったりすることは当然ありますが、自分のクラスは基本的に自分一人で運営していくのです。 一方、特別支援学校の中村では、複数担任制(チームティーチング)をとっています。一つのクラスの中で、複数の担任が複数の生徒を担当します。中学校の担任制に慣れていた私は、この「複数担任制」に戸惑いました。転勤1年目で中村の事がよく分かっていない私は、クラス担任の一人として、生徒に何をしていいのか全く分かりません。懸命に皆についていく余裕のない毎日でした。初めて行う医療的ケア、個別教育計画の作成、集団授業・・・どれをとっても自分一人では出来ません。それでも先輩である他の担任が、私に指示をくれたり、時には代わってくれたり、保護者や外部の機関と連絡をとってくれたりして、滞ることなく生徒の学校生活は進んでいきます。そんな日々の中、「自分は担任している生徒に何もしていないのではないか・・・」「自分はクラスや学部の力になっていない・・・」とチームの中の自分の位置をつかめずに落ち込み、次第に必要なこと以外は皆と話をしなくなっていったのです。おしゃべりな今の私を知っている人には信じられないことでしょうが、無口でおとなしい人と思われていたようです。 やがて一年が過ぎようとする3月に「中学部卒業生を送る会(現、卒業パーティー)」が行われました。生徒・保護者・担任が集まって楽しい時間を過ごすのです。場面設定は「カラオケボックス」。保護者は生徒の前で歌いながら踊り、生徒も楽しく体を動かして賑やかに会は進みます。会も終盤を迎えたころ、ある先輩の担任が私に向かって言うのです。「あんた店長の役ね、私がこっちのインターフォンからそっちに電話をするから、面白くしゃべってねっ!」 無口でおとなしい私は、「えっ!」と驚くばかりです。それでもやらねばなりません。「今日は金曜日なので、延長できませ〜ん」。おどけてこたえると皆は大笑い!楽しく会は終わりました。「あれっ、こんなやり方もいいんだ。」気持ちの中のモヤモヤしていたものが晴れていく、そんな爽やかな気分を7年近く経った今でも鮮明に覚えています。 2年目からは「分からないことは積極的に尋ねる」「一人でできないことは一緒にやって貰う」「自分の考えや気持ちを皆に伝える」・・・そんなアクティブな自分に少しずつ変わっていきました。すると、チームを組み、複数で担任する素晴らしさが見えてきました。そう、“チームのチカラ”に気づいたのです。 恥ずかしい事ですが、時に担当している生徒の指導・支援に必要な知識・技術を自分が十分に持っていないことがありますが、チームを組むことで「担任間でサポートする」「経験の深い人は、経験の浅い人に様々な知識を教える」「上手く出来ない時は一緒にやる」と、様々なメリットが生じます。チームを組むことで、担当の生徒に合った指導・支援が成り立つのです。中村の教育は一人の担任では出来ないし、一人で行うものでもありません。生徒の皆さんが学習を進め、楽しく快適な学校生活を送るためには、“複数の担任 = チーム”という複数担任制は、とても優れた方法であるということに、その頃になって初めて気づいたのです。 現在、中学部は3クラスと大きくなり、担任も増えました。担任は、様々な得意分野を持った人で構成されています。コミュニケーション面の指導に優れている人、運動面の指導に優れている人、個々の生徒の学習に豊富なアイデアを持っている人、生徒に合った教材教具をさっと作れる人、映像・音響・パソコンに精通している人、音楽に強い人・・・・。 「自分の担当の生徒に、こんな指導・支援をしたい」あるいは「こんな授業を作ってみたい」と思った時には、学部の中で相談したり、一緒にやったり、難しい教材を作ってもらったり、とお互いに足りない部分を補い合い、協力して進めます。集団授業を始めとして、個別運動・クラブ・課題別学習・行事などは、このように学部・学級の担任がチームを組むことで運営しています。また、中学部の担任は学部会・学級会という会議の時間以外にも、ワイワイガヤガヤ!とても賑やかです。職員室や教室で飛び交う雑談を通して、生徒の指導・支援に必要な情報を担任間でやり取りしているのです。生徒の状況・新しいアイデア・個に応じた教材教具の準備・不足している知識や技術を共有し、経験の深い人も新しいフレッシュな人も、共にチームとして協力することで、一人では出来ないことも実現できると思っています。 それでも、万事がスムーズに進む訳ではありません。担任間の意見が合わないことがあったり、皆で考えた通りに授業が進まなかったり、教材が合わなかったり・・・。反省することしきりです。 その様な時には、“チームのチカラ”に初めて気づいた時のことを思い出し、自分自身を励ましているのです。 |
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