院内学級コミュニケーションツール(イントラネット)を利用した取り組み
電子メール
・家族や地域との絆を維持する
・面会に来られない兄弟とのコンタクトを維持する。
・地元の友だちとメールの交換をする。
・毎朝、自宅にメールを送り、家族に自分の調子やリクエストを伝える。
など、ベッド上から離れることができないので病棟の公衆電話が使えない、或いは、
医療上の必要性から15才未満の友だちや兄弟が面会できないなど、病院ならでは
の制約が生じる時に、子どもたちの所属する地域の人々とのつながりを維持すること
ができる。
携帯電話の使用も禁止されている中、パーソナルな連絡を維持するための道具とし
て電子メールは有用であると考えられる。
・外部との交流、学習の深化
ウェブページ開設者に質問のメールを送り、交流を広げ学習を深める活動が可能となる。
例1)ドールハウスページ開設者に材料の選び方や道具の使い方について質問し、
自分の制作活動に生かす。
例2)読書の後、感想文を著者へ送り、何回かのやりとりをしながら著者の人となり
に触れ、本が書かれた背景についてより深く理解することができた。
ウェブページ閲覧
教科学習で利用するほかに自立活動でも有効に使うことができる。例として二つの事例
を挙げる。
ハムスター育成ソフト・・・病院内では実際に飼えない小動物をパソコン内で飼う。
仮想の世界ではあっても、子どもたちは熱心に取り組
み、心の安定に役立っている。
ウェブページ検索・・・・・病状が厳しいときなどに、自分の好きな映画やアニメ、
料理、釣り、旅行など、興味のある分野を取りかかりと
して、活動への意欲が生まれるきっかけともなる。
おさんぽゲーム
上述した通り、院内学級の児童生徒は病院の外へ出かける機会が非常に少なく、遠足
や修学旅行、社会科見学などの活動を行うことには大きな困難がある。
特に中学年の社会科では、地域の公共施設や上下水道設備、消防・警察、環境事業
などの業務について実地に見学しする活動は省くことができず、授業の組み立てに苦慮
する場合が多い。
そこで、このツールを使い、仮想的ではあっても病院の外部へ出る学習活動を行うため
以下の取り組みを行った。
教職員が環境事業局・金沢工場(平成13年4月より稼働)を取材し、廃棄物の処理につ
いて現場を見せて頂きながら映像の撮影も行った。この資料を編集して解説を加え、お散
歩ゲームに入力し、4年生の社会科学習に利用した。
(小4社会科)
2002年度、対象になった児童は2名で、1名は5ヶ月ほど個室から出られない状況にあ
り、もう1人も、数週間ベッドから離れられない状態にあった。2名とも、病棟内に設置され
た教室へ登校することもできず、通常より更に制限のある環境下にあるものの、体調的に
は十分学習に耐えるコンディションで、学校の時間を楽しみにしている。この様に教室に登
校できない児童生徒の場合は、教員が児童生徒の病室に入って授業を行うようにしている。
「ごみはどこへ」の単元の学習時、院内学級では、清掃業務に携わっておられる民間企
業のスタッフの方をお招きし、病院内の廃棄物処理についてお話を伺い、質問をする機会
を設定している。
児童にとっては身近な場所での話題なので、大きな興味をもって学習に取り組んでいる
が、病院という環境の中、医療廃棄物や感染予防措置など特殊なケースも盛り込まれるた
め、病院内の学習だけでは不十分な内容となってしまう。
今回は児童の所属する地域でのゴミの出し方調べを学習の導入とし、自宅から出された
ゴミの処理の様子について、お散歩ゲームを利用した学習につなげた。
2名とも、曜日毎に出されたゴミが回収車によって運ばれて行くことは生活経験から知って
いたが、回収車がどこへ運んでいくかについては知らなかった。
教科書などの資料から、ゴミが清掃工場で処理されることを調べ、お散歩ゲームで工場内
部について調べる課程をとった。
子どもたちの反応であるが、1人の児童は普段から「コンピューターはきらいだ。」と言ってい
たものの、クリックした地図上のポイントが拡大されたり、順送りに工場内部を見学できるプロ
セスが気に入ってコンピューターに触ることが苦にならなくなり、マウスを使った基本操作がで
きるようになった。もう1人の児童は、普段からコンピューターに親しんでいることもあり、興味
をもって調べ学習を進めることができた。
事後のインタビューでは、「色々なところへ行って調べることができて良かった。」という感想
があり、実物を見学しにいく活動には遠く及ばないものの、病院内の狭い部屋にいる子どもた
ちにとっては新鮮な活動だった様である。
付け加えると、情報機器に慣れている児童からは「できれば動画の方がいいな。」と感想を
もらった。