視覚障害とは

トップページ視覚障害とは視覚障害を理解しよう視覚障害生徒への指導と工夫(目次) >(現在の位置)1.はじめに

1.はじめに

横浜市障害児教育研究大会大会

これは2001年2月22日の横浜市障害児教育研究大会に使った資料である。

視覚障害幼児・児童・生徒の指導の基本となる基礎的能力について、横浜市立盲特別支援学校では1980年代に幼稚部が「ポーテージプログラムによる視覚障害乳幼児のための発達指導プログラムチェックリスト」を作りその取り組みを行なった。

これは視覚障害の観点が曖昧で、発達段階評価を出すだけを考え評価後の発達指導につながらなかった為に使われなくなり、発展もなく1994年に至った。

1995年当時、盲特別支援学校教育35年目のベテラン教諭から「盲特別支援学校の専門性とは何か。一般の学校教育と何が違うのか。何が特別なのか。答えられない君達は何の為に本校にいるのか。」

「重複化を言訳にして、幼児・児童・生徒の基礎的能力把握について研究せず、曖昧なままにしてしまっているじゃないか。基礎的能力の把握を曖昧にすれば、視覚障害幼児・児童・生徒と保護者が本校に期待してくるニーズに応えられなくなってしまう。これからどうすればよいか考えなさい。」

というお叱りを受けた。これを切欠として基礎研究が、養護・訓練研究部有志により始まった。本発表はその一部分である。

(1) 本研究に関わる取り組み

高等部本科に聴覚障害及び平衡覚障害を併せ有する生徒が入学し、「視覚障害と聴覚障害を併せ有しているA児に対する言葉の指導について」横盲教育41号(1995年)の経験がある中村(国総研外研員)がコミュニケーション指導(残存聴覚を使った音声言語と点字による意思疎通指導)を中心に取り組み、側面から太幡が主に歩行指導の立場から動作指導について協力を行った。

国立特殊教育総合研究所重複障害研究部とも連携が行なわれ、その中で生徒が持つ能力を引き出すために多くの方法が試みられた。その中で、我々が感じたことは視覚障害教育の基礎基本となるコミュニケーション指導技術、空間イメージ伝達指導技術、動作伝達指導技術、代行感覚指導技術の確立であった。

この呼びかけに対して中野が「位置・形・空間の学習について」横盲教育43号(1998年)という形で形体認知についての研究をまとめ、太幡が「理科教育における点字使用者の図形表現の試み」横盲教育43号、「横浜市高密度地震観測ネットワークを利用した盲特別支援学校での地学授業の取り組み」市高理(1999年)、「AMDsに関する考察」横盲教育44号(2000年)という形で空間概念形成に関わる研究をおこなった。

視覚を補う感覚情報により学習意欲を引き出すという試みが大野・鳥居・太幡による「自然観察会の取り組み第2報」横盲教育42号(1996年)、大野・鳥居・鎌田・太幡による「同 第3報」横盲教育44号、太幡・松田による地学教育におけるIT利活用の試み(副)空間イメージ化を育てるIT活用法(2001年)CEC、太幡による音による電波天体観測−盲特別支援学校地学におけるITの活用(2001年)japet、中村・吉田による社会科実習「神奈川宿の歴史探訪」(1999年)で行なわれた。

その取り組みの中で常に我々が意識してきたのは、表題にもあるように「視覚障害幼児・児童・生徒への指導と工夫」を考える上での基礎的能力とは何か、その観点項目と評価基準はどの様に設定したら良いかであった。

(2) 研究に取り組むにあたって参考としたこと

歩行指導の手引き 文部省 慶応通信 (1985年)

地理的空間概念の学習 木塚泰弘 国立特殊教育総合研究所報(1984年)
を出発点として研究を開始した。

視覚障害者のリハビリテーションと生活訓練 芝田裕一著(2000) によれば、基礎的能力とは

1.知識、2.感覚・知覚、3.運動、4.社会性、5.心理的課題であると位置づけられている。

1.知識
知的能力・言語的能力(左右と方向理解、環境理解、言葉・用語理解)である。
2.感覚・知覚
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚(触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚)、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚を中心とした8つの感覚を利用して歩行に必要な環境認知のために感覚・知覚的情報の入手することをさしている。
3.運動
歩行動作と姿勢の保持・意識をさしている。
4.社会性
表情、マナー(場に応じた対応)・身振り、身なりへの意識をさしている。
5.心理的課題
知的活動(理解力・記憶・推理力)、意志(意欲・自立心)、生理・性格(注意力・反応・恐怖・自信・判断力)を指している。

歩行能力は1.技術、2.地図的操作、3.環境認知、4.身体行動、5.情報の利用である。これらを取捨選択し、多様化が進行する盲特別支援学校教育現場に対応する観点項目に設定に向けて取り組みをおこなった。

今回は感覚(触覚、聴覚、視覚)・知覚能力、運動感覚(平衡感覚、移動感覚)の発達を促す指導観点の設定について試みた。これらの観点を基に、基礎的能力を伸ばしていく認知動作指導はどうあるべきかを提案する。

盲特別支援学校生徒に対して主に「プリケーンや白杖など補助具を用いた歩行指導」と「学級における生活動作指導」を行なう指導者としての経験から「視覚障害生徒への指導と工夫」について実践をまとめたものが今回の発表である。

(3) 発表資料と発表内容の関係

ふつう発表資料というと発表のそのままの内容や図表ともそのまま載っているものが多い、これでは発表会場に来ていただかなくても資料さえ手に入れれば良い。この様にならぬ為に重要なことはプレゼンテーションによる発表の中で解説し、この資料は発表を見た後で理解を深める読み物として作成した。

この発表は2部に分かれており、研究経過説明と前半部分の生徒の盲特別支援学校での生活について−「クラス教室内の掃除の場面より」を中村國男が担当し、後半部分の生徒の歩行指導を中心とした「空間認知と歩行環境把握への配慮と工夫」と全体のまとめを太幡慶治が担当する。

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