視覚障害とは

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弱視幼児児童生徒の理解のために

  1. 弱視幼児児童生徒の見えにくさ・困難性
  2. 弱視の定義
  3. 視機能(目の働き)
  4. 視機能の障害と見え方の特徴
  5. 弱視幼児児童生徒の理解
  6. ロービジョンエイド

1 弱視幼児児童生徒の見えにくさ・困難性

弱視幼児児童生徒の見え方は、千差万別です。周りから見ていると、見えているようで案外見えていないと感じたり、逆に見えていないのかと思うと意外に見えていると感じたりします。

「見えていないのかと思っていたけれど、案外見えているのね。」と言う言葉は、傷つけることもあるので注意を要します。以下は、弱視児童生徒が見え方について、会話などで発した言葉の記録より抜粋したものです。

  • 見ようとしても、なかなかよく見えない。見ようとしないと、見えてこない。
  • 警報機の矢印をなかなか見分けることが出来ない。
  • 不慣れな場所や場面での環境認知に、もどかしさがある。
  • 顔を覚えるのが苦手である。
  • タクシーか乗用車かは見分けられるが、空車かどうかは単眼鏡を使ってもわからない。
  • 歩いていて何を売る店なのかわからないことが多い。店頭の商品についてもそれが何であるのか、相当目を近づけて見ないとわからない。初めての店などでは、目的の商品がある場所にたどり着くまでが一苦労である。

(中田英雄「平成14年度弱視教育研修講座」 筑波大学 2002より)

2 弱視の定義

弱視の定義は文献により異なりますが、現在ではおおよそ次の2つに分けられるようです。

  • 1.教育的弱視(教育や福祉を対象) low Vision(partial sight) 両眼に器質的変化があり、治癒が望めないもので、両眼の矯正視力が0.3未満、主として視覚を用いた学習や日常生活などが可能なものとされています。この場合は盲特別支援学校などでの弱視教育の対象になります。
  • 2.医学的弱視(機能的弱視、治療の対象) amblyopia 視覚の発達段階において、斜視、強い屈折異常などで、視覚の発達が遅延した状態で、正常な矯正視力が得られないものです。治療などで視力の改善が可能です。

3 視機能(目の働き)

視機能(目の働き)とはものを見る力の視力だけと思いがちですが、他に視野、色覚、光覚、屈折、両眼視、眼球の運動などがあります。それぞれ大切な機能ですが、特に視力と見える範囲の視野の障害が視機能に大きく影響します。

4 視機能の障害と見え方の特徴

視機能の障害と見え方の特徴にはおもに次のようなものがあります。

1.黄斑部変性症

黄斑部変性症

黄斑部は視野の中心にあり、ものを見る上で最も大切な部位となります。この為、視力・色覚が低下します。周辺部は障害されないので、周辺部の視野は見えることや、夜盲をきたさないことから、歩行などの行動に支障が必要な場合は少ないようです。

2.網膜色素変性症

網膜色素変性症

遺伝性疾患で、小児に発症し、夜になると道路が見えないなどの夜盲がおこります。視野の異常は輪状の視野欠損で始まり、年齢とともに進行し、中心に向かって視野がしだいに狭くなり、中心視野だけになってしまいます。明るい場所で光が強すぎるとまぶしさを感じたり、またコントラストの低下により、ものや文字が見えにくくなります。進行すると点字への切り替えや、歩行についても白杖の使用が必要となります。

3.白内障

暗く見える画像霧がかかったように見える

水晶体の混濁によって、光線が遮られ混濁部分で光が散乱するので、暗くなったり、霧がかかったように見えたり、まぶしさにより見えにくくなったりする傾向があります。読速度は低下し、晴天時の歩行はまぶしさにより困難になります。夜間は街路灯の周りに光の輪がかかったように見えたりもします。

4.緑内障

緑内障

眼球内の圧力が高いため、視野の中心部や周りが見えにくくなる傾向があります。読速度は低下し、必要なものを探すことや歩行が困難になります。初期は文字の使用が可能ですが、進行すると点字への切り替え、歩行は白杖の使用が必要となることがあります。

5.網膜剥離

網膜剥離

網膜の中心にある細胞群が網膜の上皮よりはがれ、はがれた部分は著しい視機能障害を生じます。

5 弱視幼児児童生徒の理解

弱視幼児児童生徒は視覚が制限された状態で対象とするものを見つけ出そうとしますので、学習、日常生活動作など困難な面をもっています。 特に中途視覚障害の場合は、今までの視覚を活用した行動になれてきていることで、より困難性が増します。既にお話ししているように、弱視幼児児童生徒の見え方は大きな個人差があります。

同じ程度の視力でも、視野の状態(視野の広さ・欠損の状態など)、まぶしさの程度、屈折異常の状態などさまざまに見え方が異なります。したがって、弱視の理解の上で、これらの見え方を理解することが大切です。

本などの文字が読める中心視力があっても、歩行が難しく、白杖を使用して歩行するケースがあります。これは視野狭窄により、周囲がほとんど見えないためにおこります。逆に歩行には支障がないが、本が読めないということもあります。これは視野の中心部に病変があり、周囲の視野が保たれていることによりおこります。以下、誤解を受けやすい事項について述べます。

顔を合わせても挨拶をしない、会話をするとき視線を合わせない、相手の目を見ない、顔をそむけるなどの動作をすることがあります。これは相手の顔が見えないか、または、斜視や視野の障害により見えるところで相手を見ようとするために起こります。 弱視児童というと、教室の机は窓際の一番前と考えがちですが、それでは困ることもあります。眼疾患によってはまぶしいとむしろ見にくくなることがあるからです。

本や教科書などをかなり目に近づけ、背中を丸くして見ているケースがあります。姿勢が悪くなるからといって、もっと目を離しなさいという方がいますが、見えないから目を近づけていることもあり、その場合は何の解決にもなりません。

昼間は走り回っていても、夜暗くなると見えなくなり、歩行が困難になるケースもあります。これらのことを知らず、努力不足、行動できるはず、怠けているなどと自分と同じように思わず、十分理解して、弱視幼児・児童・生徒に接して欲しいと思います。

6 ロービジョンエイド

見やすい学習の環境をつくることが大切です。いくつか方法はありますが、ここでは網膜像の拡大について取り上げます。

  • 1.対象物に目を近づける。手で持つなどして目に近づける、または、自分が接近して目を近づける。
  • 2.対象そのものを拡大する。大コピーで拡大する。線の太さや文字の大きさをその人に合わせて手書きで大きく書く。コンピューターでフォント、字詰まり、行間を見やすく設定したりするなど特別の大きさ作る。
  • 3.弱視レンズで拡大する。
  • 4.拡大読書器(CCTV)で拡大する。

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1.拡大読書器とは

拡大読書器(CCTV/closed circuit television)とは、簡単にいえば、ビデオカメラなどで撮った文字や図などの画像を、家庭用テレビまたはパソコン用モニターに拡大して映し出す機械のことです。

ルーペや弱視メガネなど、他の弱視者用の補助具と比べて、重く大きいものがほとんどですから、持ち運びは簡単にできません。しかし、ルーベや弱視メガネの拡大率はせいぜい18倍程度なのに対して、拡大読書器は高倍率(30倍前後)で、鮮明な画像を得ることができます。

拡大読書器本体を、テレビまたはモニターにつないで使用します。拡大読書器を使用している弱視者は、ただ単に本を見る、図を見るというだけではなく、自分が書く字なども拡大し、拡大読書器で読んだり書いたりしています。読み書きで不自由さを感じている部分をかなり補ってくれる器械です。視覚障害者の日常生活用具認定されており、入手に際して補助が受けられます。

2.拡大読書器のいろいろ

1 カメラ部分の形の違い  ひとつはカメラ部分がパソコンのマウスの形をしているもので、本などの上にカメラを置き移動させ、見たい部分を拡大し使用します。 もうひとつは、本体の上にモニターをのせ、本体のカメラ部分の下で、間隔をあけたところにテーブルがついているもので、本などを、そのテーブルにのせてテーブルを動かし見たい部分を拡大し使用します。この場合、容易に拡大した紙面上に文字を書くこともできます。最近はさらに開発が進み、携帯用のもの、メガネ型のものなどいろいろな製品が発売されています。

2 焦点合わせの方法  マニュアルフォーカス、オートフォーカスのものがあります。

3 画像の種類  モノクロ(白黒反転可能)、カラーがあります。

3.拡大読書器選びのポイント

1 据え置き型(可動テーブル付き)かマウス型か。新聞や回覧板などを見るだけで良ければマウス型でも良いが、拡大して書きたいものがある場合は、据え置き型を選ぶ必要があります。最近では、メガネ型をしているものなども発売されています。

2 コントラスト調整ができるかどうか。 薄い色の線や枠、文字や模様をはっきり浮かび上がらせることができる機能で、あった方が便利です。

3 どれくらいの倍率で拡大できるか。中には、5倍、10倍、15倍と3段階にしか拡大できないものもあります。少なくとも25倍以上拡大できるものを選んだ方がよいでしょう。

4 焦点合わせの方法 オートフォーカス、マニュアルフォーカスの2種類があります。最近はオートフォーカスの焦点合わせの甘さも以前に比べかなり改善され、鮮明な画像を得ることができます。また、オートフォーカスにより焦点を合わせ、その焦点を固定できる機能を持つ機種もでてきています。視覚障害者が自分で焦点を合わせるのは難しかったりもしますので、購入される際は焦点固定可能なオートフォーカスのものを選ばれた方がよいでしょう。

5 カラーかモノクロか写真、絵、模様を見たいと思うこともあるので、できるだけカラー、モノクロを切り替えられる機種が便利です。

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