トップページ>視覚障害とは>ICTを知ろう>視覚障害者のICT活用について>(現在の位置)高度情報化社会への対応
この文章は、私と本校の松田先生との協同執筆したものを編集して掲載したものです。
本文中にも書いてありますが、今までは、視覚障害者にとってのコンピュータは、主に「感覚代行機器」として使って来たように思います。いわば、目の代わりとして用いていました。もちろん、これからもその機能は重要なものになりつづけるであろうと思います。ところが、これからは、パソコンを単なる感覚代行機器としてだけではなく、より積極的にコミュニケーションを広げる手段として、さらには、自分の主張を広く社会の人々に訴えて行くこともできるのです。例えば、ホームページを作成することによって、これからはいろいろな人が積極的に情報発信をすることができるのです。
もちろん、今まででも、本を出版したり、新聞に投稿したり、テレビやラジオに出演する等の方法もありました。でも、それらより、はるかに自由度があり、柔軟性を持っているのがインターネットではないでしょうか。今は、ネットワークがキーワードになっているような気がします。それらの事柄について書いているのが、このページです。皆様にも参考になれば幸いです。
最終更新日:2001年 02月 11日
世は、まさに高度情報化社会である。日本の産業においても、今や「情報通信産業」が中心となっている。今や私達の生活は、コンピュータなしでは成り立たないほどである。
インターネットは、テレビや雑誌等で大きな話題になっており、個人で電子メールやホームページを持つ人が多くなってきた。インターネットを使いこなせることが就職の条件になっている程で、インターネットを使えないと会社案内さえ入手できないようになりつつある。
このような社会状況に対して平成10年7月29日の教育課程審議会の答申で、すべての学校がインターネットに接続できるよう計画的な整備が進められ、近い将来、テレビや電話を使うのと同じようにインターネットを活用する社会が訪れることを予感させている。このような社会全体の流れに呼応して、例えば、教科書の出版会社を始め、各種の産業が、情報化社会に対応したものに変化しつつある。
このような中で、本校では、Windowsパソコンの登場以来、視覚障害児(者)にとってのパソコンのハード・ソフトを含めたコンピュータ環境についての検討を重ね、OCRを使った自動書籍朗読システム「よみとも」の実証実験依頼をきっかけに、今後導入すべきパソコンとして、DOSVパソコンを中心とすることを決定し、また、ソフトについても、Windows上で動作する各種ソフトを導入・指導して行くことを決めた。
さらに時期を同じくして、横浜市教育委員会より教育用情報処理機器の整備・充実費として近年にない多額の予算がつけられることとなり、長期的・広い視野からの検討をした結果、「必要な基盤整備を重点とする」ことを確認し、校内ネットワーク作りを進めることになった。
そこで、今年度本校で検討してきた内容、基本となる考え方、そして、若干の実践例、課題等をここにまとめることとした。関係各方面の方々からの忌憚のないご批判・ご意見ををいただき、本校のこれまでの取り組みが少しでも参考になれば幸いである。
盲特別支援学校における情報教育を進めまた、基盤整備をはかる上で、同提言は、極めて重要な考え方となっている。そこで、同提言の一部を抜粋し、掲載することで、今後の本校の情報教育を進めていく上での指針としたい。
児童生徒がコンピュータに触れる機会をできるだけ多く確保する
コンピュータ教室に加え、普通教室、学校図書館等にも配置し、校内をネットワーク化、校務の情報化を進めるために保健室、進路指導室、職員室等にも設置
すべての学校をインターネット接続
すべての教員にコンピュータ等の操作能力・指導力を育成する
学校の情報化支援のための体制を整備する
コンピュータの基本操作の習得などの一斉指導には集中型の配置、各教科や総合的な学習においては普通教室などへの分散型の配置が適していることを踏まえ、学習の目的に応じてコンピュータ教室、普通教室、特別教室、多目的スペース、学校図書館などへの多様な配置を推進する。
学校内においてもネットワーク化を進めるため,必要な場所に電源と校内LAN用の情報端末を設置することや、移動が容易なタイプの機種の導入も進めていく
特殊教育諸学校のように複数の部を設置する場合には、それぞれの部毎に必要なコンピュータを設置しネットワーク化を図る。社会との交流が困難になりやすい場合や、障害の特性に応じて教科指導等におけるコンピュータやネットワークの利用が特に効果的と認められる場合には、各教室毎にコンピュータの設置やネットワークの導入について配慮する
ここでは、情報をどのような方法で提供するかという観点から、視覚障害を持つ人のコンピュータ・アクセシビリティの現状と課題を整理する。
視覚に障害を持つ人がコンピュータにアクセスする際、最初にバリア(障壁)となるのは、画面に表示された情報を読みとることである。全盲の人は画面に表示された情報を確認することはできないし、視力の低い人には表示される文字が小さくて読みにくかったりする。そのため、a) 画面に表示されている情報を聴覚や触覚等、視覚以外の感覚情報に変換したり、b) 文字や画面全体を拡大したり、配色を変更することで、視覚情報をより見やすく表示したりしなければならない。
具体的には、音声出力ソフト(スクリーンリーダー)・画面拡大ソフト・点字出力装置・点字プリンタ等が必要となる。
視覚障害のある人のバリアは、画面表示だけではない。最近のコンピュータ・システムで標準的になってきたGUI(Graphical User Interface)の特徴は、情報を視覚的に表示することでわかりやすくすると同時に、視覚的に表示された「もの」を「開いたり」「動かしたり」という日常生活のアナロジー(比喩、喩え)で「操作」できる点にある。日常生活における具体物の操作については、視覚以外の手がかりも使えるため比較的容易である。ところが、現在のところ、コンピュータ上での「もの」は視覚的にバーチャルに表示してあるだけなので、視覚障害のあるユーザには扱いが困難である。
具体的には、ほとんどの操作をキーボードによって行っており、視覚情報を自身でイメージ化して理解せざるをえない。
出力の仕方や操作方法以外に、情報の内容そのものの問題がある。現状では、情報を電子化する際、単純な形式、すなわち、文字情報は文字コード、写真は点の集まりとして表現されているに過ぎない。そのため、これらの単純な形式の情報を様々な観点で表示することができない。例えば、通常、写真は明暗の点の集まりとしては表現できても、その中に何が表現されているかという観点で情報を引き出すことはできない。したがって、視覚障害のあるユーザには、写真に表現されている情報を引き出せないのである。この問題を解決するためには、様々な感覚モダリティに訴えかけるような複数の表現形式で情報が蓄積されなければならない。また、この表現方法はコンピュータのハードウェアやOSに依存しないものでなければならない。最近ではホームページやマニュアル等、電子化された情報が増えてきたが、視覚だけに頼るような情報提示の方法がとられているケースが少なくない。
1) 視覚障害者にとってパソコンを活用することは、単にコミュニケーションの手段としてではなく、視覚の障害を補う道具としての積極的な活用・指導が各領域にわったって必要である。
2) 現在のWindows上のソフトウェアを活用することにより、それらを実現す ることが可能となってきている。
1)
コンピュータ教室はもちろん普通教室、特別教室、学校図書館などへ(移動用ノートコンピュータ)を含めたコンピュータを配備し、
各教科で、必要に応じて、多様な学習目的に対応できるようにコンピータ(特にインターネットの利用)が利用可能できる環境づくりが必要となる。
2)
校内LAN等のネットワーク化を進めると同時に、特に校内イントラネットの充実を図り、
電子掲示板のシステムや、メールシステムやチャットシステムなどを通じて、生徒間や教師間を問わず相互にコミュニケーション
を図るシステムつくりが重要である。
またプリンタやスキャナ等の機材の共同利用、デジタルカメラまたVTR教材やビデオ画材等を配信・提供できるシステムづくり (近い将来には視聴覚との融合も視野に入れて)が必要となる。
→新教育課程における「ネットワークを利用した情報収集・伝達・加工等の技術の習得す。・・」などが可能になる。 本校ではイントラネットを重視し、校内掲示板、校内メール、共有ファイルの活用などをはかっている。 視覚障害者や健常者を問わずにTXTファイルでの情報交換を目指している。また、将来的には、教材のデータベース化を予定している。
3)
ネットワークを利用した、共有ファイル等の利用により、授業等で教材ファイルの利用や児童・
生徒の作品の相互利用や相互評価が容易に可能になる。また教師の教材DATA等の準備が、ネットーク上で可能になり、
効率的な授業の展開が可能となる。特に、図書館で点訳図書等や、教材を電子図書館として提示することで、
かさばる点字文書を持ち歩かずに済むことは、視覚障害者にとって大きな意義がある。
またCD・DVDといったマルティメディア教材や・辞書等を(版権を取得した上)共同利用が可能になる。
→点訳ボランティアの皆さんが作成してくれた文書や資料を校内とりわけ、図書館を情報センター化する事で、
資料の効率的な検索がどの端末からも可能になる。視覚障害者にとって大変な紙の資料や教材のの持ち運びも少なくなる。
4)
インターネット・電子メール・テレビ会議等が必要に応じて利用できることは、
就職活動や生徒交流そして情報収集の幅を飛躍的に広げる、学校内・外とのコミュニケーション
(校外へのメール・校内事務連絡(主に職員)「電子化」をはかることが可能になり、視野を広め交流の場を拡大することが可能となる。
→外部とのテレビ会議等は、グローバルなIPがないので、難しい側面もあり(技術的には可能) 回線も細いのであまり実用的ではない。校内でのCCDカメラを通じたコミュニケーションは授業の中でも可能になった。 外部との電子メールも全員に発給されている訳ではないが、代表者を通 じて行える用になっている。校内の電子メールは、 設定が終わリ使えるようになった。共有ファイルの利用は、かなり効率度を上げている。
・今後、大型映像システム(視聴覚)などの導入も含め、学校の情報システムを再検討する必要がある。 また、学校図書館については、「学習情報センター」として機能強化を図っていく必要がある。未整備の、家庭科室、 体育準備室等へのコンピュータ配備を進め、将来的には、児童・生徒・教職員一人一人が1台づつの個人が利用できる コンピュータ端末を整備し授業や学校運営等のために活用できる よう学校内のコンピュータ整備を推進することが望まれる。 また、弱視生徒の目の保護のために液晶画 面を使うなど、視覚障害の種類や程度に応じた情報機器やソフトウェアの整備・充実が必須課題である。
簡単なお絵かきや図鑑・学習用CDを閲覧・利用
絵本などの物語を含んだマルティメディア学習・音楽CD等を利用
点字指導・点字辞書検索・お絵かきソフトの利用
電子図書の整備「点字図書→点訳電子図書に整備」
図書点訳システムの移行
インターネット情報検索
OCRによる自動書籍朗読システムの活用(全学部)
医学・辞書(語学など)各種CD検索・DVD図書の閲覧
電子掲示板・電子メール・画像、動画を含めたファイルの共有
本校では、コンピュータROOMは、ほぼ常時生徒に開放している。休み時間や朝、放課後は毎日児童・生徒がひっきりなしにコンピュータを使っている状態である。
横浜市立盲特別支援学校では、99年9月末からのネットワーク始動で、機材や根本的な台数の不足状態である。 各中学校や会社で廃棄になった機材やコンピュータを手直ししてネットワーク接続をさせているが、かなりの無理がある。 古いマシンは使えるようになったとしてもさらに音声読み上げ(スクリーンリーダー)等の導入は無理である。実際、 入ったとしても音がとぎれたり、フリーズして止まってしまうケースが頻発する。従ってこれらは、 晴眼者用として理科準備室や職員室等で教員が使っている。また、ネットワーク関連の資材は、整合性もあり、 安価になってきたとはいえ、買ってきてすぐ使える状況にはない、他機種の混じり合った環境では、こちらでは使えても、 あちらでは使えないという環境が発生する。画一的な機材等配当でなく、必要度に応じた配当をお願いしたい。
視覚障害者用の障害度に応じて拡大ソフトウェアやスクリーンリーダーのソフトウェアが必要となりそれらが一般に比べて何倍も高額であり、ソフトウェア予算学校の負担ではまかない切れない状況にある。さらにバージョンアップもそれなりに高価である。基本ソフトウェア(OSやワープロ等)の一般に人が使う多くのソフトウェアは安くなっている。が視覚障害者用のソフトウェアは出荷本数も少ないこともあって高額である。従って学校予算の中では必要本数を買えないでいる現状がある。また、一般に、ハードウェアの面においても、ワープロなどを使う場合でも同時に画面を読み上げ用のソフトウェアや画面拡大ソフトウェアを使うため標準のメモリ以外にさらに多くのメモリ容量がないとフリーズして終了したリ、使い物にならない状況が発生する。このために、導入前に数ヶ月を費やして、何回もソフトウェアの整合性を確かめたり、バグ修正をするなどの時間が費やされた。メーカーに聞いても、ソフトウェアの種類が多いので、なかなか切り分けができない状況が発生する。
従って、メーカー納入機材に、メモリーを追加したり、整合性を最適にし少しでも機材の負担を軽くして、最良の条件でバックアップを取り、起動用のフロッピディスク1枚あれば10分で元に戻せるバックアップシステム等を各PCごとに工夫しているが、情報担当者は授業もありほとんどが授業以外のメンテナンスとなる。また、点字プリンタ等は、まだまだ高価で1台100万円を越える。受注生産に近い様子で納期もかかる。また、ネットワークにも対応していない状況がある。
現在ダイヤルアップの64K(場合により128K接続)でインターネットに接続している。グローバルなIPが現在、本校には発給されていないので、TV会議等は工夫すればできるが、ダイナミックにIPアドレスがふられているいる訳ではないのでLAN上に接続したコンピュータでは、そのたびに設定変更が必要になる。到底、普通の教員には、無理な負荷がかかる。
また、端末の台数が増えれば、インターネットの接続の効率も下がる。PROXYサーバ等を自前で立ててキャッシュ等の工夫をしているがそれも限界がある。コノ状態での、通常同時接続は、10〜20台がいいところであるが、現在、場合によりその上限を越えてしまうことも発生する。TV会議を行っても画像や音声が細切れになってしまう。
また、HPをアップするにしても教育委員会にFD等の媒体で持っていきUPするという時間と手間のかかる手段しかない。
現在、旅費予算削減のあおりで学校外の、出張はかなり難しくなりつつある。視覚障害者の展示会や研修会・情報交換の場に参加しづらくなってきている。その場合でも自己負担を覚悟の場合が多い。
また、校内研修会を含めた各種コンピュータ研修会等において教員の情報資質向上(情報モラル等を含めた)の研修会参加を呼びかけ、お誘いをお願いしている。
どこの教育委員会内でもまだまだネットワーク化が進んでいない状況があるので、相談窓口の担当者が電子メールやコンピュータを使われていない場合もあり、要件の前に、ネットワークや電子メールなどの用語の説明から始まる。理解をしてもらうまでに何ヶ月も、大変な時間が費やされる状況がある。教育委員会の自身の情報・ネットワーク化も急務であるように思える。
高度情報化社会への対応