トップページ>学部・施設紹介>専攻科>卒業後の進路について>(現在の位置)ヘルスキーパーに関する調査
日本理療科教員連盟 進路対策部ヘルスキーパーの制度化を求める連絡会
視覚障害者を対象としたあん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の養成課程を設置する全国の盲特別支援学校および養成施設(合計71校・施設)。
各盲特別支援学校および養成施設の進路担当者に対し、郵送による調査票の配布および回収を行った。
1997年11月15日〜1998年1月31日
67校・施設からの回収を得た。回収率は94.3%である。
1学科・コース、2.性別、3.使用文字、4.視力、5.障害等級、6.年齢
1.学科・コース、2.年齢、3.性別、4.使用文字、5.視力、6.障害等級
1年齢、2.性別、3.学科・コース、4.卒業年、5.現住所、6.障害等級、 7.使用文字、8.視力
1.所在地、2.採用年月、3.勤務時間、4.事業所の業種、5.事業所の規模、 6.雇用形態
それぞれの学科・コースの卒業学年在籍者数は、養成施設1部78名、盲特別支援学校本科保健理療科107名、同専攻科保健理療科52名、同専攻科理療科458名、同研修課程など17名の合計712名で、専攻科理療科が64.3%を占めている。ただし、養成施設2部の122名は専攻科理療科に含めた。
卒業学年の女性は176名、男性は536名で、男性が75.3%を占めている。
卒業学年在籍者712名を使用文字別にみると、墨字503名、点字202名、その他7名であり、墨字使用者が70.6%を占めている。
卒業学年在籍者712名を視力別にみると、弱視543名、全盲169名であり、弱視が76.3%を占めている。
卒業学年在籍者712名を障害等級別にみると、1級206名、2級169名、3級79名、4級49名、5級76名、6級31名、その他・不明102名であり、1・2級の重度障害者が52.7%を占めている。
卒業学年在籍者712名を年齢別にみると、20歳未満16名、20歳代333名、30歳代111名、40歳代150名、50歳代86名、60歳以上14名、不明2名であり、20歳代が46.8%を占めている。
首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)の卒業学年在籍者数は125名(17.6%)、近畿圏(大阪、兵庫、京都、奈良)の卒業学年在籍者数は127名(17.8%)、その他の地域の卒業学年在籍者数は460名(64.6%)である。
それぞれの学科・コースのヘルスキーパー求職者は、養成施設1部3名、盲特別支援学校本科保健理療科1名、同専攻科保健理療科2名、同専攻科理療科42名、同研修課程など2名、不明5名の合計55名で、専攻科理療科が76.4%を占めている。ただし、養成施設2部の11名は専攻科理療科に含めた。
ヘルスキーパー求職者の最低年齢は20歳、最高年齢は55歳、平均年齢は30.8歳である。また、ヘルスキーパー求職者55名を年齢別にみると、20歳代32名、30歳代7名、40歳代13名、50歳代3名であり、20歳代が58.2%を占めている。なお、ヘルスキーパーとして職場復帰を目指すものの数も含まれているとみられるが、その実態は今回の調査では採り上げなかったため不明である。
ヘルスキーパー求職者55名を性別にみると、女性22名、男性33名であり、女性が40.0%、男性が60.0%を占める。
ヘルスキーパー求職者55名を使用文字別にみると、点字22名、墨字32名、その他1名であり、点字使用者は40.0%である。
ヘルスキーパー求職者55名を視力別にみると、全盲22名、墨字32名、その他1名であり、全盲が40.0%を占める。
ヘルスキーパー求職者55名を障害等級別にみると、1級24名、2級10名、3級2名、4級4名、5級10名、6級2名、不明3名であり、1・2級の重度障害者が34名(61.9%)を占めている。
首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)の求職者数は18名(32.7%)、近畿圏(大阪、京都、兵庫、奈良)の求職者数は9名(16.4%)、その他の地域の求職者数は28名(50.9%)である。
全国の盲特別支援学校・養成施設から回答のあったヘルスキーパー在職者数は196名であるが、個人別調査票として回収のできたものは183名である。したがって、今回の実態調査ではヘルスキーパー在職者は全国で183名として分析する。
ヘルスキーパー在職者183名を年齢別にみると、25歳以下23名(12.6%)、26〜30歳45名(24.6%)、31〜35歳22名(12.0%)、36〜40歳18名(9.8%)、41〜45歳21名(11.5%)、46〜50歳29名(15.8%)、51歳以上14名(7.7%)、不明11名(6.0%)である。
ヘルスキーパー在職者183名を性別にみると、女性101名(55.2%)、男性81名(44.3%)、不明1名(0.5%)である。
ヘルスキーパー在職者183名を学科・コース別にみると、養成施設1部8名(4.4%)、盲特別支援学校本科保健理療科14名(7.7%)、同専攻科保健理療科7名(3.8%)、同専攻科理療科139名(76.0%)、同研修課程などその他8名(4.4%)、不明7名(3.8%)である。
ヘルスキーパー在職者の卒業年を3年ごとに区分すると、88年以前65名(35.5%)、89〜91年33名(18.0%)、92〜94年47名(25.7%)、95〜97年37名(20.2%)、不明1名(0.5%)である。
首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)在住のヘルスキーパーは100名(54.6%)、近畿圏(大阪、京都、兵庫、奈良)在住のヘルスキーパーは41名(22.4%)、その他の地域在住のヘルスキーパーは42名(23.0%)である。
ヘルスキーパー在職者183名を障害等級別にみると、1・2級の重度障害者121名(66.1%)、3級以下35名(19.1%)、不明27名(14.8%)である。
ヘルスキーパー在職者183名を使用文字別にみると、点字97名(53.0%)、墨字77名(42.1%)、その他2名(1.1%)、不明7名(3.8%)である。
首都圏の事業所に勤務するヘルスキーパーは101名(55.2%)、近畿圏の事業所に勤務するヘルスキーパーは40名(21.9%)、その他の地域の事業所に勤務するヘルスキーパーは42名(23.0%)である。なお、個別調査票に企業名・事業書名が明記されていないものがあったため、企業数・事業所数は不明である。
ヘルスキーパー在職者の採用年を3年ごとに区分すると、1988年以前16名(8.7%)、1989〜1991年13名(7.1%)、1992〜1994年61名(33.3%)、1995〜1997年52名(28.4%)、不明41名(22.4%)である。
ヘルスキーパー在職者183名の勤務時間をみると、8時間未満14名(7.7%)、8時間43名(23.5%)、8時間1分以上8時間30分未満13名(7.1%)、8時間30分35名(19.1%)、8時間31分以上29名(15.8%)、不明49名(26.8%)である。
ヘルスキーパー在職者183名の勤務先事業所の業種をみると、サービス業27名(14.8%)、運輸・通信業23名(12.6%)、卸売・小売・飲食店30名(16.4%)、金融・保険・不動産業27名(14.8%)、鉱業・建築業6名(3.3%)、製造業60名(32.8%)、電気・ガス・熱供給・水道業5名(2.7%)、不明5名(2.7%)である。
ヘルスキーパー在職者183名の勤務先事業所の規模をみると、29人以下2名(1.1%)、30〜99人18名(9.8%)、100〜499名31名(16.9%)、500〜999名31名(16.9%)、1000〜4999名57名(31.1%)、5000人以上7名(3.8%)である。
ヘルスキーパー在職者183名の雇用形態をみると、正社員56名(30.6%)、嘱託96名(52.5%)、パート2名(1.1%)、その他6名(3.3%)、不明23名(12.6%)である。
今回の調査で全国の盲特別支援学校・養成施設からヘルスキーパーとして送り出した人数のみの合計は196名で、その内個人別調査票として回収できたものは183名である。しかし、大阪府労働部によれば、大阪府内の企業に勤務するヘルスキーパーは約50名であるが、今回の調査で回収できたのは24名にとどまっている。したがって、その差の約25名を183名に加えると、現在のヘルスキーパーは少なくとも全国で210名程度と考えられる。
ヘルスキーパー在職者183名のうち、1・2級の重度障害者は121名で、重度障害者の墨字使用者は32名で、重度障害者に占める墨字使用者の割合は26.4%にのぼる。 このことから、ヘルスキーパー業務は重度障害者でも十分遂行が可能であることがうかがえるが、同時に、企業の採用意欲が法定雇用率算定上のダブルカウントのできる重度障害者に向いている結果ともみることができる。 また、重度障害者に占める墨字使用の割合が26.4%であることは、ダブルカウントができ、かつ墨字に対応ができるものを企業が求めている側面がみられる。
ヘルスキーパー在職者の3年ごとの採用年度別推移をみると、1992年以降の採用に急激な増加がみられる。 1989〜1991年と1992〜1994年の採用者を男女別に比較すると、女性は4名→32名(増加率800%)、男性は9名→29名(増加率322%)で、女性の増加が著しいが、これは嘱託の女性の増加(3名→26名)に起因していると考えられる。 また、正社員の男女別の採用年区分推移をみると、女性は漸増傾向にあるのに対し、男性は1992〜1994年をピークに減少に転じている。 これらのことから、ヘルスキーパー雇用は正社員・嘱託共に女性にシフトしていることがうかがえる。
男女別、雇用形態別に採用年次推移をみると、1991年のヘルスキーパー雇用は男女合計7名であったが、労働省から「ヘルスキーパー雇用マニュアル」が示された1992年は、男女合計22名と約3倍に跳ね上がっている。 また、男女別にみると、1992〜1994年は性差がそれほどみられないが、1995年以降の雇用は女性にシフトしている様子がうかがえる。雇用形態をみると、1995年以降に正社員と嘱託の差が少なくなった。 これらのことから、企業のヘルスキーパー雇用意欲が法定雇用率などの施策にゆだねられている部分の多い実情をうかがうことができる。
重度墨字使用者、重度点字使用者、軽度墨字使用者、軽度点字使用者の占める割合を、採用年区分ごとに推移をみると、グラフ4のようになる。 1992年はヘルスキーパーが急増した年であるが、1992〜1994年では軽度墨字使用者の割合は減少し、重度点字使用者の割合は増加した。 1995〜1997年では重度墨字使用者・軽度墨字使用者の割合は増加し、重度点字使用者の割合は減少している。このことは、企業内の点字の流通が難しいことを物語っている。 しかしながら、進行性の眼疾であれば、雇用時の墨字処理が不可能になったときに、企業と障害者との関係に少なからず問題が生じると予想できる。
卒業学科については、現在の学習指導要領以前の教育課程下で卒業したヘルスキーパーもいるため単純な集計はできないが、現在の高等部専攻科理療科(以前の高等部専攻科理療科第2部・養成施設の2部)の卒業生が全体の76.0%を占めている。 日本視覚障害ヘルスキーパー協会が1996年に実施したヘルスキーパー業務アンケートの「現在行っている施術の種類は何か(複数回答可)」という質問の回答では、マッサージ(96.5%)、運動処方およびその指導(68.4%)、はり施術(31.6%)、きゅう施術(7.1%)、温熱・牽引など物療機器(40.4%)となっている。 このアンケートの結果とヘルスキーパー在職者の76.0%が専攻科理療科の卒業生である現状を鑑みると、ヘルスキーパーを希望するものまたはヘルスキーパーに在職するものが「鍼灸も導入したい」との希望が生じるのも否めないことである。
東北・北海道(青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島)、中部(新潟、富山、石川、福井、岐阜、長野、山梨、愛知、静岡)、 首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)、 その他の関東(茨城、栃木、群馬)、 近畿圏(大阪、兵庫、京都、奈良)、 その他の近畿(三重、滋賀、和歌山)、 中国・四国(岡山、広島、山口、鳥取、島根、愛媛、高知、香川、徳島)、 九州・沖縄に区分して、性別と障害の程度を表した。 全国のヘルスキーパーに占める女性の割合は55.2%でやや女性が多いが、女性が多い傾向は近畿圏で顕著にみられる。 また、首都圏・近畿圏以外では男性が多い。
事業所規模による雇用形態をみると、30〜99名と5000名以上の事業所では正社員が50%以上を占め、その他の規模では正社員がほぼ30%を占めている。30〜99名の事業所で正社員が多い理由は、この規模に障害者雇用の特例子会社が含まれているためと考えられる。また、ヘルスキーパー雇用の実数値をみると、1000〜4999名規模の事業所にヘルスキーパー全体の31.1%が雇用されている。
業種別に採用年区分推移をみると、卸売・小売・飲食店は漸増傾向であるが、製造業の1992年以降の増加が著しい。特定の製造業がヘルスキーパー雇用を進めていることも考えに入れなければならないが、この製造業の増加は特筆すべきものがある。
性別、障害等級、年齢について1997年度卒業生とヘルスキーパー求職者とを対比した(グラフ10)。グラフのヘルスキーパー求職者の縦軸は1997年度卒業生数の1/15に縮尺してある。 性別をみると、求職者の実数値としては女性22名、男性33名で男性の求職者が多いが、女性のヘルスキーパー求職者の卒業生に占める割合(12.5%)は、男子のそれ(6.2%)に比べて約2倍大きくなっている。 これは、1995年以降のヘルスキーパー就職者に占める女性の増加(表2)と一致している。 障害等級では、重度障害者のヘルスキーパー求職者の卒業生に占める割合(9.1%)は、軽度のそれ(7.7%)に比べて多少大きい。 年齢層では、20歳代と40歳代のヘルスキーパー求職者の割合が高い。40歳代のヘルスキーパー求職者が多いのは、ヘルスキーパーで職場復帰を志すものが多いためとも考えられる。 しかし、今回の調査では志望動機などの調査は行っていないので詳細は定かでない。
性別、障害程度、視力について求職者と過去3年の実績とを比較した。性別については、過去3年のヘルスキーパー就職者数の平均は女性12.3名、男性4.7名である。 1998年のヘルスキーパー求職者数は女性22名、男性33名である。 したがって、1998年の求人が過去3年の平均値であるとすると、求職者一人あたりの採用可能者は女性0.56名、男性0.14名であり、男性のヘルスキーパー就職は現時点で考えるときわめて狭き門であるといえる。 同様に、障害程度については、1998年の求人が過去3年の平均値であるとすると、求職者一人あたりの採用可能者は重度0.37名、軽度0.26名であり、軽度の就職が若干難しいと考えられる。 また、視力・使用文字については、1998年の求人が過去3年の平均値であるとすると、全盲・弱視とも求職者一人あたりの採用可能者は約0.3名であり、差は特にみられない。 しかしながら、全盲・点字の就職者は年推移と共に減少していることから考えると、視力・使用文字について差がないとは言い切れない。
ヘルスキーパー求職者の性別の地域別特性をみると、首都圏とその他の地域は約65%が男性であるのに対し、近畿圏では女性が約75%を占めている。 また、使用文字の地域特性をみると、首都圏とその他の地域は約60%が墨字使用者であるのに対し、近畿圏では約65%が点字使用者で占めている。 求職者の地域特性として、首都圏とその他の地域はほぼ同様な傾向があるのに対し、近畿圏では性別・使用文字が首都圏やその他の地域とは逆になっている。
性別、使用文字について過去の実績と1998年のヘルスキーパー求職者数を対比してみると、性別では首都圏男性とその他の地域女性・男性の就職が困難のように感じる。 また、使用文字では首都圏点字とその他の地域点字・墨字の就職が困難のようである。 近畿圏は首都圏・その他の地域とは求職希望者層が異なっていたが、過去の実績と対比すると求職者との差は現実味のある数値となっている。 これに対し、首都圏・その他の地域の求職者は過去の実績と対比すると、ややかけ離れた数値のように感じる。 調査を11月から行ったために就職希望が確定していなかったという変動要因はあるが、生徒の夢を実現するために、より一層の職場開拓が必要と感じる。
今回の調査は、日本理療科教員連盟とヘルスキーパーの制度化を求める連絡会が共同で行ったが、実際の作業は日本理療科教員連盟が主体となって行ったため、ヘルスキーパーを送り出す側の調査しかできなかった。 その調査も、回答を回収しづらい給与面・施術内容などの調査は含まなかった。 紙面の都合上、今回の調査で得られるすべての特徴を網羅することができなかったが、ダブルカウントのできる行動視力のある障害者(企業が俗に言う「見える全盲」)の増加、女性の躍進、地域的特性などヘルスキーパー像のある一定の方向性を報告できたものと思う。 この結果は、ヘルスキーパーを送り出す側の意図によるものか、雇用する側の意図によるものか定かではないが、曖昧模糊としたヘルスキーパーの実態について相互に諒解の得られる結果を示すことができたと感じる。 昨今の日本経済の低迷と迷走の中、リストラの対象にされかねないヘルスキーパーの雇用ではあるが、企業、学校、障害者雇用促進団体などが共通理解の下に、企業・ヘルスキーパー労働者の両者によりよい雇用と労働環境が実現されるのを願ってやまない。
ヘルスキーパーに関する調査