令和5年度より着任しました校長の堀口 直明と申します。

 子どもたちの笑顔があふれる学校になるよう、職員一同取り組ませていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 子どもたちの成長を願うとき、私はいつも坂道のたもとで荷物の載ったリヤカーを引く子どもの姿を思い浮かべます。

 「坂道の頂上の大切な人に荷物を届けてほしい。」そんなお願いを受けたお子さんは、ゆっくりとリヤカーを引いて坂道を上り始めます。汗だくになってつらそうです。そんな場面で私たちおとなはどんなことができるでしょうか。

 つらそうだけどリヤカーは動いているので、転げ落ちないようにだけ見守るでしょうか。荷物が多すぎる、とそっと荷物を減らすでしょうか。後ろに隠れてわからないようにそっとリヤカーを押すでしょうか。あるいは横に並んで一緒にリヤカーを引くでしょうか。

 おとなにリヤカーをさわられたくない、100パーセント自分の力で行きたいと主張する子も少なからずいるでしょう。また、お子さんによっては頂上ではなく、お届け先は途中の見晴台に変更になったよ、とさりげなく変更することもあるでしょう。

 やがて汗だくで泣きそうになりながらも頂上にたどり着いたお子さんは、必ず後ろを振り返ります。スタート地点がはるか下のほうに見え、お子さんはこう言います。「うわあ、結構上ってきたなあ。」

 大事なことは、お子さんが自分の力で頂上まで来たと思うことだと感じています。たとえおとなが後ろで見えないようにぐいぐい押していたとしても、です。振り返って自分の上ってきた距離感を体感したとき、はじめて自信という土台ができるのではないでしょうか。

 お子さんへの支援の仕方は一つではありません。どの支援が正解かもわかりません。ただ、目の前のお子さんを真摯に見続けることから、学校とご家庭ができることを一緒に考えていきたいと思います。