
横浜市教育センターの調査研究は、研究テーマに「授業研究の在り方」を取り上げ3年目になります。
研究1年目に実施したアンケート調査(本市の教員1,500人対象)の結果からは、授業力向上のための効果的な取組として、「授業を見合い、協議する等の授業研究をすること」を挙げる教員が最も多いことが明らかになりました。また、課題として、「教師間で何でも言い合える、相談できる関係づくり」が浮かび上がりました。
“授業力向上の鍵は授業研究にある”とする本市教員の認識は、教職に対する使命感や自負心、向上心をもって授業実践を重ねている表れと言えます。
そこで、昨年度はこれらの調査結果を踏まえ、授業研究の実効性を高めるために、教師同士が本音で議論し合える関係づくりを重視し、特に授業後の検討会を活性化させる手法の研究に取り組みました。その一例として、教師が授業を見て気付いたことをそれぞれ付せん(75mm四方)に記入し、授業後の検討会に臨む「フリー・コメント手法」を活用したワークショップ型授業研究が挙げられます。この手法は小さな意見でも全体に反映されるため、授業研究に対する実施前の期待度60%が、実施後には満足度が100%に達するケースもみられます。また、職員間のコミュニケーションが活性化し、学校のチーム力向上にも資することが明らかになりました。
実施校や近隣校研修等では、「従来は自分の関心とは別の議論が多かったが、授業改善に向け自分たちの考えを出し合えるようになった」、「授業の成果、疑問点、課題などから改善策を見出せるようになった」(小学校、特別支援学校)等、すこぶる好評でした。中学校でも教科の枠を超えたワークショップ型授業研究が実現し、実施校の生徒や保護者からの授業評価では、評価項目に挙げた「わかりやすい授業に努めている」の達成度が昨年度の評価を大幅に上回る事例もみられました。こうした実績を踏まえ、市立高校の授業力向上研究校(平成19年度指定)でも教員の授業力を学校全体で高めようとワークショップ型の研修が始まっています。
言うまでもなく、学校が児童・生徒や保護者・市民の方々の信頼を得るには、「質の高い授業」の提供にかかっています。そのため、教師には授業力向上を目指し、絶えず研究と修養に励むことが求められます。昨年度の調査研究報告『授業力向上の鍵2』は、各学校等の特性や実情に応じるために3部構成(基本・活用・発展)のガイド形式にしたところ、校内研究・研修や教育研究会等で参考にされ、それぞれの学校等に応じた様々な創意工夫による授業研究が行われています。
なお、本調査研究は、新聞報道や全国教育研究所連盟、関東教育研究所連盟等の研究大会での発表機会を得たことから、全国の教育機関、教育関係の方々からのお問い合わせを多数いただいております。今年度は、皆様のご期待にお応えできるよう、これまでに増し学校や教育研究会との連携を深め、より有効な「授業研究の在り方」を探るべく研究の開発・検証等に努めてまいります。
|
|