平成17・18・19年度 文部科学省研究指定


人権教育総合推進地域事業


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 横浜市泉区上飯田中学校区4校の取組
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  ≪ 目 次 ≫
   1.研究主題及び設定する理由     2.推進協力校の概要     3.関係協力機関の概要
   4.事業内容                5.主な活動の様子       6.これまでの取組実績の概要
   7.研究の成果と今後の課題

地域を取り巻く教育環境

 横浜市泉区上飯田町は、神奈川県営いちょう上飯田団地、横浜市営上飯田団地の2つの大規模団地があり、両団地には多くの外国籍住民が住んでいる。上飯田地区には、上飯田中学校・上飯田小学校・いちょう小学校・飯田北小学校の4つの市立学校があり、各校には、多くの外国人児童生徒(外国籍および外国につながる児童生徒)が在籍し、日本人児童生徒と共に学んでいる。
横浜市泉区上飯田町
 上飯田地区4校には、それぞれ国際教室があり、平成10年から担当者の連絡会を立ち上げ、協働して外国人児童生徒の受け入れ体制を整えるとともに、日本人児童生徒と外国につながる児童生徒が、互いの国籍や民族の違いを認め合いながら、共に学ぶ多文化共生の学校づくりをめざしてきた。
 *外国につながる児童生徒:二重国籍者、日本国籍取得者及び保護者などが外国籍である日本国籍者など
                      (平成15年度横浜市学校教育目標より) 



1.研究主題及び設定する理由
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(1)横浜市の人権教育の方針(平成13年教育長通知)

       「だれもが」 「安心して」 「豊かに」 生活できる学校


(2)研究主題

       『だれもが安心して豊かに生活できる学校をめざして』
           〜地域と共につくる多文化共生の学校〜



(3)研究主題を設定する理由

 研究主題『だれもが安心して豊かに生活できる学校をめざして』は、横浜市教育委員会が平成13年に教育長通知として発信した人権尊重の精神を基盤とする教育の推進に関する文章で、横浜市立学校のあるべき姿を示している。
 上飯田中学校区4校では、多くの外国人児童生徒が在籍しているという実態をふまえ、教育長通知を次のように解釈し、一人ひとりの課題を見つめ、課題の解決に向けた取組を行っている。 

   『だれもが』・・・日本人児童生徒も外国人児童生徒も
   『安心して』・・・国籍や民族の違いによって、いじめられたり、差別されたりせず
             自らのルーツに自信や誇りをもち
   『豊かに』・・・・自己肯定感をもって、思いや願いを実現していく 


 こうした学校づくりは、学校独自の取組だけで達成されるものではない。多くの外国につながる住民が住む上飯田地区が一体となった取組を展開することで、より確かな効果が期待できる。ここ数年は、保護者、自治会やボランティア団体、大学、行政等と連携して、多文化共生の学校づくり・地域づくりをめざして活動を展開してきた。
 そこで、各校の取組を核にして、地域連携をさらに発展させ、地域全体で日本人児童生徒と外国人児童生徒の共生を支えていく体制を確立するために、上記の主題を設定し、地域と共に研究を推進することにした。


2.推進協力校の概要
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      上飯田
中学校
上飯田
小学校
いちょう
小学校
飯田北
小学校
合計
H17 全校児童生徒数 293 270 208 209 980
外国人児童生徒数 81 20 102 51 254
H18 全校児童生徒数 296 274 209 219 998
外国人児童生徒数 76 24 115 58 273
H19 全校児童生徒数 326 324 203 214 1067
外国人児童生徒数 80 25 117 56 278


3.関係協力機関の概要
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関係協力機関 概   要

上飯田地区4園連絡会 外国人園児が多数在籍する幼稚園保育園の連絡会。定期的な懇談会を開催。

県立高等学校
 和泉、岡津、希望ヶ丘、
 湘南、ひばりが丘高校
市立高等学校
 戸塚高校

上飯田地区の子どもたちが多く通う近隣の県立高等学校、市立高等学校と定期的な懇談会を開催。


横浜市泉区役所 行政、いちょう多文化共生まちづくり懇談会の
オブザーバー
神奈川県社会福祉協議会 社会福祉協議会
いちょう多文化共生まちづくり懇談会に参加









いちょう団地連合自治会 自治会
いちょう多文化共生まちづくり懇談会を主催
かながわ難民定住援助協会 NPO、インドシナ難民等支援団体
放課後の学習教室、補習教室、日本語教室等の開催、学校との連携事業
多文化まちづくり工房 地域ボランティア団体
放課後の学習教室、補習教室、日本語教室等の開催、学校との連携事業
わをん、風の子、ジャボラ 地域ボランティア団体
日本語教室等の開催、学校との連携事業
横浜市国際交流協会 通訳・翻訳
学校通訳ボランティア定期派遣事業
明治大学山脇研究室
(山脇啓造教授)
4校連絡会・いちょう多文化共生まちづくり懇談会のオブザーバー、多文化共生社会論、外国人集住都市会議コーディネーター


4.事業内容
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事業内容等(連携事業を含む) 開催数 関係機関等
【各校の取組】
  人権教育の推進 通年  
  国際理解教育・多文化共生教育の推進 通年  
  人権研修 年数回 外国籍住民、学識経験者等
  放課後の日本語教室・学習教室 常時 地域ボランティア団体
【4校の取組】
  4校連絡会(国際・人権教育担当者会) 月1回  
  人権教育総合推進会議 年2回 市教委、区役所
  4校児童生徒交流会 年3回 保護者、地域協力者
  4校授業交流会 年2回  
  ボランティア団体等との連絡会 常時 地域ボランティア団体
  4校拡大委員会(保育園・幼稚園・高等
  学校との情報交換会)
年2回 上飯田地区4園連絡会、
高等学校、各種学校
地域ボランティア団体
  中学校文化祭への参加 年1回  
【地域の取組】
  いちょう子どもフェスティバル・団地祭り
  への参加
年1回 自治会
  いちょう多文化共生まちづくり懇談会へ
  の参加
年4回 自治会、区役所、社会福祉協議会
地域ボランティア、外国籍住民
  いちょう多文化共生交流会への参加 年1回 自治会、地域ボランティア、学校、行政、学識経験者
【市教委の取組】 
  泉区スピーチコンテスト 年1回 市教委、自治会


5.主な取組の様子
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 <研究の重点>
A 進路・学力保障、アイデンティティの確立の取組
B 異校間の連携
C 地域や公的機関との連携

A 4校児童生徒交流会
 「4校の中にはいろいろな外国人児童生徒がいる。自分の学校には少なくても、地域には仲間がいるんだ」と安心して過ごせる子どもたち同士のつながりをつくるために平成11年より多文化共生に関わる取組を4校のもち回りで行っている。地域からの関心も高まり、保護者の参加・参観も見られるようになった。


A B 4校授業交流会
 小中合わせて9年間の縦のつながりで子どもたちの成長を見守っていこう、育てていこうという趣旨のもと平成16年から始まった。中学校への参観では、育てた子どもたちの成長を見取ることができ、小学校への参観では、これから入学してくる生徒の学習や生徒指導へのヒントになる情報を得る有意義な場となっている。

B 4校連絡協議会
 4校が協働して外国人児童生徒の受け入れ体制を整え、課題の解決を図ることを目的として、平成10年に発足。校長、人権教育担当、国際教室担当が、月一回程度会合を開き、活動の計画や検討、情報交換を行っている。

A B 定時制高等学校の見学
 高等学校との連携の延長として、上飯田地区から進学が多い定時制高等学校の見学と情報交換会を平成17年より始めた。上飯田地区を巣立った子どもたちの状況を確認するとともに、支援の連携について情報交換を行っている。

C 人権教育推進地域校 泉ブロック運営委員会
 4校連携の実績をふまえ、地域に多く在住する外国人の課題解決を図り、「共に学ぶ学校づくり」をめざして「人権教育推進校地域事業」の委嘱を平成13年に横浜市から受けている。泉ブロックとして、年2回、運営委員会を開催している。

B C 泉ブロック拡大委員会
 泉ブロックの拡大の取組として、4校全職員と保育園・幼稚園、高等学校、行政、地域ボランティア・支援団体等との情報交換会を年2回開催している。「上飯田地区の多文化共生の挑戦」と題し、各回にテーマを設定して講演やグループディスカッションを設け、情報交換を行っている。

泉ブロック拡大委員会
C いちょう多文化共生交流会
 平成3年、「中国からの帰国者とその家族、外国籍居住者との交流会」を開催し、食文化の交流、意見交換を行い、お互いを認め合う交流会となった。その後、平成14年から泉区主催の「国際交流まつり」にあわせて開催した。平成17年からは会場を団地に戻し『いちょう団地多文化共生交流会』として、日本人住民と外国につながる住民が安心して生活するための交流をしている。

A C 親子の日本語教室
 平成12年より、神奈川県インドシナ難民定住援助協会(現「特定非営利活動法人かながわ難民定住援助協会」)による『子どもの日本語教室』が開催され、平成14年からは文化庁の委嘱を受け『放課後の日本語教室』に加え、『親子の日本語教室』が開催された。現在は年3期にわたって『親子の日本語教室』が開催され、インドシナにつながる多くの親子が学んでいる。



6.これまでの取組実績の概要
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年度 取組実績等
平成11年

平成12年

平成13年

平成14年



平成16年

平成17年
文部科学省 「外国人子女教育受入推進地域」指定(4校連絡会)

研究発表会開催(4校合同)

文部科学省 「帰国・外国人児童生徒と共に進める教育の国際化推進地域」

指定(横浜市全域)
いちょう小学校は、センター校として、「ともに学ぶ学校づくり〜地域と連携した外国人児童生徒教育・国際理解教育のあり方」をテーマに研究

博報教育賞、文部科学大臣奨励賞を4校として受賞

いちょう小学校が「多文化共生の学校づくり」(明石出版)を出版


7.研究の成果と今後の課題
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 【進路・学力保障・アイデンティティの確立の取り組みについて】

 成果

 4校児童生徒交流会は、毎年4回ずつ実施している。児童生徒がなかよくふれあう・多文化に親しむ・中学校への期待を膨らませる等のテーマを毎回設定し、年々充実してきている。
 また、講師を招いて学習したり、民族衣装や楽器に触れる機会等を設けたりして、多文化共生を中心にした人権教育を進めてきた。子どもたちは、様々な国の文化に関心をもち、違いを認め、共に生活するよさを楽しんでいる。


 課題

 外国人児童生徒が自らのルーツに誇りをもつためや、親子間でのコミュニケーションが円滑に行えるためには、母語を保持していくことも大切となる。今後も、日本語の指導はもちろん、母語が学べる環境を地域として整備していく必要がある。
 外国人児童生徒の学習言語としての日本語の定着、基礎学力の充実・向上を図るために、個に応じた支援、放課後や長期休暇中の学習支援等の学力の保障をすすめてきたが、まだ充分とはいえない。さらに充実させるために、指導法や教材の開発をすすめていく必要がある。


【異校種間の連携/地域や公的機関との連携】

 成果

 幼・保・小・中・高等学校等の縦の連携と共に、それぞれの発達段階で学習支援や生活適応支援などに関わる地域ボランティア・支援団体、大学からのアドバイザー、公的機関等との横の連携も図ってきた。子どもたちの成長を多くの人々によって広く長く支援するためのサポート体制が整備されてきている。
 また、上飯田中学校区のPTAが中心となり、保護者や地域に対して「多文化に触れよう」、「多文化共生を考えよう」と呼びかけをし、料理教室や講演会等の具体的な活動が見られるようになってきた。学校の多文化共生の推進が、保護者や地域に広がっている。


 課題

 地域や保護者と連携した人権教育・多文化共生教育の取組が計画的に行われるようになったが、地域全体には広まっていない。地域の連携を活かして、関心をさらに高めていきたい。
 異校種間の連携が深まったが、通訳者や翻訳物の共有化が進んでいない。今後は、配布物のライブラリー化や、通訳・翻訳者のデータバンク作成等、ソフト面での連携を図っていきたい。



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