科学者との出会い

東京大学からの贈り物

 Sir Isaac Newton(1643-1727)は、リンゴの実が落ちるのを見て、なぜ月は地球に落ちてこないのかと不思議に思い、その原因を考えた末に「万有引力の法則」を発見したといわれています。
 ニュートンは「ケプラーの法則」(惑星の運動に関する法則1619年)の原因は、太陽と惑星の間の、距離の2乗に反比例し太陽と惑星の質量の積に比例してはたらく力だ、と考えました。さらにこの力は太陽と惑星だけでなく、万物の間にはたらいているとして「万有引力」と名付けました。
 全く関係ないように思われる地球上の物体の落下現象と、太陽系の惑星の運動現象を、同じ原因によるとして、ひとつの法則で関係付けたのです。
 サイエンスは、現象をじっくり観察し、データーを測定し、原因と結果を結びつけている法則を見つけます(現象論)。さらに、法則達をまとめる一般法則を発見します(実態論)。そして、宇宙のいろいろな現象の根源にある原理を探究します(本質論)。
Gregor Johann Mendel(1822-1884)はチェコスロバキアのブリュン(Brunn)(現ブルノ[Brno])の修道院の牧師でした。中庭でエンドウを材料として遺伝の実験を行い「メンデルの法則」を発見し1865年に発表します。この大発見が知られることなくしばらく埋もれた後に1900年に再発見されたことは有名です。
ここで、なぜエンドウでなくブドウなのかということになります。メンデルは当時の重要産業であった葡萄酒製造のためにブドウの品種改良を考えました。そこで彼が発見した遺伝法則を使おうとして、ブドウの交雑実験を計画したのです。そのために何種類かのブドウ品種が修道院の庭と裏の丘に植えられましたが、残念なことに実験が進展しないままに彼は1884年に死去しました。
(常任スーパーアドバイザー 和田 昭允)
 

 

 

ニュートンのリンゴとメンデルのブドウ

Sir Isaac Newton(1643-1727)が、「万有引力の法則」を発見するきっかけとなった「リンゴの木」のクローンです。イギリス、リンカン州・ウルスソープのニュートンの生家に現在もある"Newton Pippin"と呼ばれている木の接ぎ木が1964年に当時のイギリス国立物理学研究所から日本学士院に送られ、東京大学大学院理学系研究科付属植物園(小石川植物園)で立派に生長しました。スーパーアドバイザーである東京大学名誉教授和田昭允博士のお計らいにより同植物園から寄贈を受け、物理科学的サイエンスの象徴として記念樹としました。


 

 

 

 

 

 

Gregor Johann Mendel(1822-1884)はオーストリアのブリュン(現在チェコのブルノ)の修道院の修道士としてエンドウの遺伝実験(1856-1862)を行い、1865年に彼の名を冠した有名な法則を発表しました。このときメンデルは、遺伝法則を用いて当時の重要産業であった葡萄酒の改良研究を行うため、修道院の庭にブドウを植えました。1913年に東京大学大学院理学系研究科付属植物園(小石川植物園)において、その挿し木によるクローンが根付き、生長しました。スーパーアドバイザーである東京大学名誉教授和田昭允博士のお計らいにより同植物園から寄贈を受け、生命科学的サイエンスの象徴として記念樹としました。