特色ある教育活動

サタデー サイエンス

 毎月1回程度土曜日を中心として、1年次を対象に科学技術顧問の先生方や研究者の方にサイエンスに関しての講演をしていただく「サタデーサイエンス」を開催しています。実験をしたり、企業を訪問させていただくイベントもあります。

 

サタデーサイエンス特別編 「日産流体力学実習」

  12月17日(火)に1年次生を対象としたサタデーサイエンス特別編「日産流体力学実習」を実施しました。日産自動車株式会社の5名にご協力していただき、流体力学の基礎に関する講義と、生徒が自作した車を使った風洞実験を行いました。実験では、2人1組のペアを作り、最も空気抵抗の少ない車を作成したペアが優勝という課題が提示されました。生徒たちは、2人で協力して空気抵抗を減らすためのアイデアを出し合いながら、厚紙とセロハンテープ、プラスチックのタイヤと板を使った車を作成し、風洞装置に入れて空気抵抗を測定しました。今回のサタデーサイエンス特別編では、学習した知識をすぐに実験を通して活用できたことで、流体力学への理解を深めることが出来ました。また、本校では2年次の課題研究「サイエンスリテラシーⅡ」で全員が個人研究に取り組みます。流体・構造に関するコースもあり、生徒たちにとって、来年度の課題研究のテーマを決定するための一助となる活動になりました。

 

サタデーサイエンス特別編 「理化学研究所一般公開ボランティア」

  11月16日(土)に中学1、2、3年生と高校1、2年次生の総勢69人で、理化学研究所の一般公開にボランティアとして参加しました。生徒たちは、「超低温ひえひえショー」や「DNAを解読して犯人を見つけよう」など16のブースに分かれ、理化学研究所の研究者の方々と一緒に科学の楽しさを一般の方に伝えました。活動後、生徒の多くが、「科学の面白さを伝える難しさや楽しさを知ることができ、とても勉強となった1日だった」と述べていました。また、普段はあまり会うことの出来ない研究者の方々と研究内容や研究所の生活についてお話しいただき、将来への見通しを持てる時間にもなりました。

 

サタデーサイエンス特別編 「横浜市立大学 研究室訪問」

 8月23日(金)にサタデーサイエンス特別編「横浜市立大学 研究室訪問」を実施しました。

 訪問した研究室は、篠崎研究室(無機光化学)、本多研究室(物性物理化学)、内山研究室(再生発生学)、立川研究室(量子物理化学)、沓名研究室(植物ゲノム生理学)、守研究室(微生物生態学)です。各研究室に所属する先生方、大学生・大学院生から研究内容を教えていただき、生徒たちからの質問にも丁寧に答えていただきました。いくつかの研究室には、本校の卒業生も所属しており、本校の先輩として自分たちが経験した高校生活、大学生活や研究について話してくれました。

 2年次生6名、1年次生3名が参加したため、年次による知識の差はありましたが、それぞれの知識や関心に合う説明をしていただいたことで、横浜市立大学の研究について理解を深めることができました。終了後の生徒アンケートには、

・「サイエンス卒業生の方とお話をする事で、同じような環境で過ごした人から見た横浜市立大学が知れてよかった。」

・「普段は知れない大学の研究室の雰囲気を身をもって感じることができてよかった。また、大学の知らない研究内容や考え方を知ることがで き、現在やっているSLⅡの参考になった。」

・「今日のお話全てが、自分にとって刺激的で魅力的でした。また、研究室に入ったことはなかったので、その点も非常に貴重な体験で、今後の進路選択等に役立てていきたいと思います。」

 などの意見が多く寄せられ、この先の進路や将来やりたい研究の決定につながる貴重な時間となりました。

 

サタデーサイエンス 中川先生

 5月11日、第2回目サタデーサイエンスが行われました。今回ご講演くださったのは、サイエンスリテラシーでもご指導いただいている、特別非常勤講師の中川知己先生です。今回のテーマは「植物進化に学ぶ究極の外交術~周囲の微生物を味方に変えるマメ科植物の巧妙な戦略~」で、タイトルから非常に生徒の関心を引くご講演でした。

長年に渡って中川先生が研究をされているマメ科植物と根粒菌の相利共生のお話をはじめとして、植物と微生物の関係性から「他者とどのように付き合えば良いのか?」という人生の問いにまで発展するお話をしていただき、生徒たちは非常に興味を持って聴いていました。例え話も多岐に渡り、高級店の「一見さまお断り」の話や、「項羽と劉邦」の「信賞必罰」の話など、印象に残る例え話で、生徒たちの植物に関する理解も深まっていた様子です。

また、講演の最中に中川先生から生徒への発問があり、それに対して生徒から活発な意見や多くの質問が出ていました。講演終了後には、講演時間内に聞くことが出来なかった質問のため、生徒が中川先生のもとへ列をなして集まっていました。中川先生は生徒のそれらひとつひとつに対して丁寧に回答や助言をしてくださり、生徒たちにとって大変充実した講演会となりました。

「人生で常に悩みのタネとなりうる他人との付き合い方について、植物が数千万年~数億年かけてたどり着いた究極の戦術から学びましょう。」という中川先生からの投げかけに対して、聴講した高校1年次の生徒たちからも、自分たちの生活の中で今日のご講演の内容を生かしていきたいという声も挙がっていました。今回の講演や先日のサイエンスリテラシーでお話しいただいた内容をきっかけに、これから始まる研究に向けて意欲的に取り組んでほしいと思います。

  

       

 

サタデーサイエンス 藤嶋昭先生 特別講演

 4月20日、第1回目サタデーサイエンスが行われました。このイベントは、1年次生を対象に、大学や企業の方が様々なテーマでサイエンスについて講演をしてくださるものです。初回の講師は本校スーパーアドバイザー藤嶋昭先生(東京大学特別栄誉教授、東京理科大学栄誉教授)で、「科学を楽しく」をテーマに、「身のまわりの不思議」について考えるきっかけとなる数多くの質問を投げかけてくださいました。

藤嶋先生は、光触媒の第一人者で、ご自身の研究が認められるまでの苦労や、光触媒が身近で使われている例をお話してくださいました。新幹線の喫煙室の消臭・除菌、劇場のガラスや建物の外壁・看板、駅の屋根部分にあるテントなど、私たちが生活する中で目にする多くのところで光触媒は活用されています。また、光触媒がコロナウイルスにも効果的であることや、水をきれいにする研究など現在も研究をされているとのお話もあり、生徒は非常に興味をもって聴いていました。

光触媒活用の具体例として、フランスルーブル美術館のガラスピラミッドや東京駅八重洲口のグランルーフの他、横浜・川崎にある光触媒の建造物を紹介してくださったので、光触媒を今まで以上に身近に感じている生徒も多かった様子です。

質疑応答も、時間内では足りないくらい多くの生徒からの積極的に質問が出ていました。藤嶋先生もその一つ一つに丁寧にご返答くださいました。「〝光触媒”製品の価値と効果をきちんと理解した上で使用する人が増えるように、これからしっかり勉強していきた*い。」と、意気込みを語ってくれた生徒もいました。藤嶋先生のご講演でいただいた刺激を、これからの高校生活に生かしてほしいと思います。

   

      

 

サタデーサイエンス 浅島誠先生特別講演

 今年度最後のサタデーサイエンスは、本校常任スーパーアドバイザーの浅島誠先生によるご講演でした。浅島先生は生物の根源に関わる分野が専門であり、この分野は「生物とは何か」について、突き詰めて考えていくことが求められます。

今年度1学期に行われた浅島サロンにてお話しいただいた「自分の夢や目標を立てて、それを紙に書いて育てていますか」という問いかけからご講演が始まりました。講義の中では、アクチビンという受精卵の成長を促進する物質の存在を確認するまでの様々なエピソードの他、先制医療や最先端医薬にも触れてお話しいただきました。

アクチビンを発見した際のお話の中で、「存在はするが特定することが不可能な物質について研究するなら、一生をかけてやるくらいの覚悟がないと」という言葉は、生徒の印象に強く残ったようです。また、今後は科学と倫理の分野においてより深い研究や考察が必要であることを熱弁しておられました。浅島先生の研究への熱意や情熱にあふれたご講演で、生徒たちは、引き込まれるように真剣に聴講していました。

 最後に、質疑応答に応じてくださり、高校1年次生からは30分の質問時間内に収まらない程の質問が寄せられました。その一つ一つの質問に誠実にご対応くださり、生徒にとって有意義な2時間となりました。

 

 

向井千秋先生(本校スーパーアドバイザー)の特別講演が本校で行われました。

 1118日(土)に元宇宙飛行士で、本校スーパーアドバイザーの向井千秋先生による特別講演を実施しました。向井千秋先生は、アジア人初の女性宇宙飛行士として1994年(コロンビア号)と1998年(ディスカバリー号)の2回、スペースシャトルに搭乗し、生命科学、宇宙医学、材料科学等に関する宇宙実験を実施しました。現在はJAXA 特別参与、東京理科大学特任副学長の他、2022年度より本校のスーパーアドバイザーに就任していただいています。

今回の特別講演は、附属中1年生から高校3年次生までの全校生徒が参加しました。講演では、医学博士であり心臓外科医療に従事していた向井先生が、宇宙飛行士を目指そうと思ったきっかけや、微小重力下で水が沸騰する様子、宇宙での環境がメダカやイモリなど生物に与える影響などの実験の様子、そして今後の宇宙開発の可能性などをお話いただき、生徒たちは熱心に聞いていました。また講演で語られた「自分と違う意見の人からしか新しい事は学べない」「女性や日本人であることを、自分ができないことの言い訳にしない」「教育が夢を実現させる」「どの分野でも詳しくなれば他の分野にも通用する」「選択した中で最善をつくす」などのメッセージにも生徒たちは感銘を受けていました。

講演後の感想アンケートでは、「現場のリアルな空気・雰囲気が伝わってきました。」「2時間があっという間に感じられる、非常に興味深いお話でした。」といった感想の他、「今後も積極的に違う意見の人と関わろうと思う。」「自分で自分に壁を作らない。」「サイエンスフロンティア高校でしか得られないような経験を大切にしながら日々を過ごしていきたい。」「大学受験で進路決定することで自分の人生を決めるとは考えすぎずに柔軟な思考を持ちたい。」などの声もあり、生徒たちのこれからの生き方にも影響を与えた講演となりました。

 

サタデーサイエンス ユーグレナ 鈴木健吾先生特別講演

今回ご講演をしてくださったのは、ミドリムシ博士として知られている株式会社ユーグレナ執行役員CTOの鈴木健吾先生です。講演のテーマは「ミドリムシ研究による国際的な社会問題解決の可能性」でした。 

鈴木先生が学生の頃から研究をされているユーグレナ(和名:ミドリムシ)について、睡眠の質の改善やインフルエンザ感染症状抑制の効果をもつパラミロンを含んだ食品としての利用可能性や、ユーグレナ由来の培養土、バイオ燃料としての利用可能性等のお話をしていただきました。また、鈴木先生の大学時代の経験やユーグレナ社の設立、フレームワークを用いた海外展開も含む今後の展望など多くのことをお話ししてくださり、生徒はとても集中し関心を持って聴いていました。

さらに、ユーグレナ100%ハンバーグやDHAを多量に含む微細藻類オーランチオキトリウムを使用した寿司の開発、目的形質をもつミドリムシを選択して作出するスーパーミドリムシ等、鈴木先生が取り組んでいる様々な挑戦について、生徒が笑顔で楽しそうに話を聴いている様子が印象的でした。

講演の最後には鈴木先生に生徒からの質問を受けていただき、ミドリムシによる免疫力の向上や、宇宙でミドリムシに起こる変化についてなど、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださいました。

また、鈴木先生の著書を購入した生徒が講演後にサインをいただく姿も見られました。

ご自身の研究分野を生かし、会社を立ち上げ、地球規模の問題の解決に貢献している鈴木先生のお話を聴くことができ、生徒にとって非常に貴重な経験となりました。

 

 

サタデーサイエンス 中川先生

 

513日、第2回目のサタデーサイエンスが行われました。今回ご講演くださったのは、サイエンスリテラシーでもご指導いただいている、特別非常勤講師の中川知己先生です。

長年に渡って中川先生が研究をされているマメ科植物と根粒菌の相利共生のお話をはじめとして、植物と微生物の関係性から「他者とどのように付き合えば良いのか?」という人生の問いにまで発展するお話をしていただき、生徒たちは非常に興味を持って聴いていました。

また、講演の最中に中川先生から生徒への発問があり、それに対して生徒から活発な意見や多くの質問が出ていました。中川先生は生徒のそれらひとつひとつに対して丁寧に回答や助言をしてくださり、生徒たちにとって大変充実した講演会となりました。

 

今回も質疑応答では時間の制約によって途中で打ち切らなければならないほど生徒から質問が出ており、生徒たちの熱心な様子が見られました。講演終了後には生徒が中川先生のもとに伺って、講演時間内に聞くことが出来なかった質問をしていました。今回の講演や先日のサイエンスリテラシーでお話しいただいた内容をきっかけに、これから始まる研究に向けて意欲的に取り組んでほしいと思います。

 

 

サタデーサイエンス 藤嶋昭先生 特別講演

 415日、第1回目のサタデーサイエンスが行われました。このイベントは、1年次生を対象に、大学や企業の方が様々なテーマでサイエンスについて講演をしてくださるものです。

 今回は本校スーパーアドバイザー藤嶋昭先生(東京大学特別栄誉教授、東京理科大学栄誉教授)で、テーマは「科学を楽しく」でした。藤嶋先生は、光触媒の第一人者で、ご自身の研究が認められるまでの苦労や光触媒が身近で使われている例をお話してくださいました。新幹線の喫煙室の消臭・除菌、劇場のガラスや建物の外壁・看板、駅の屋根部分にあるテントなど、私たちが生活する中で目にする多くのところで光触媒は活用されています。また、光触媒がコロナウイルスにも効果的であることや、水をきれいにする研究など現在も研究をされているとのお話もあり、生徒は非常に興味をもって聴いていました。

 今回も質疑応答の時間内では足りないくらい生徒からの質問が出ていました。藤嶋先生もその一つ一つに丁寧にご返答くださいました。藤嶋先生のご講演でいただいた刺激を、これからの高校生活に生かしてほしいと思います。

  

 

サタデーサイエンス特別編「プトラ大学Hidayah先生特別講義」

サタデーサイエンス特別編は、土曜日に1年次生全員を対象に実施する「サタデーサイエンス」に加えて、希望者を対象に平日の放課後に実施する特別講座です。

今回はマレーシアのプトラ大学からDr. Hidayah Ariffinをお招きして実施しました。プトラ大学はマレーシア有数の国立大学で、コロナ禍以前は、本校の課題研究サイエンスリテラシ―Ⅱの分野代表生徒が毎年訪問し、英語発表を行っていました。Hidayah先生はBiotechnology and Biomolecular Science(バイオテクノロジー・生物分子科学)学部副学部長で、セルロースナノファイバー(CNF)の研究をされています。当日は附属中2年生から高校2年次生までの希望者25名が参加しました。

特別講義は実習を含む3部構成で2時間半にわたって行われました。最初に「Seminar on Nanoscale Lignocellulosic Biomass(ナノスケールのリグノセルロース系バイオマスに関するセミナー)」というテーマで、セルロースナノファイバー(CNF)の基礎知識について1時間ほど講義を行っていただいた後、生徒たちは2つの実習に取り組みました。

1つ目の実習テーマは「Nano cellulose as suspending agent / stabilizer(懸濁剤/安定剤としてのナノセルロース)で、ココアパウダーを水で溶かした2つのビーカーの一方にCNFを入れ、その後の経過を観察しました。CNFを入れていない方のビーカーでは、時間とともにココアパウダーが下に沈殿していくのに対して、もう一方のビーカーではCNFが懸濁剤(安定剤)として働き、ココアパウダーが水と分離して下に沈殿するのを防ぐ効果があることを確認しました。2つ目の実習テーマは「Nanocellulose as rheology modifier(流動性調整剤としてのナノセルロース)で、化粧水にCNF混ぜることで、香りなどに影響することなく流動性(粘性)を調整できることを確認しました。

本校は今年度からSSH基礎枠に加え重点枠の指定を受け、プトラ大学等の学生との国際共同課題研究の実践と普及に取り組んでいます。今回の特別講座により、生徒たちはプトラ大学での共同研究テーマについてイメージを明確にすることができました。またプトラ大学の副学部長に本校の研究施設や実際の生徒の様子について理解してもらうことができ、来年度以降のさらなる連携につなげることができました。

   

 

3月11日(土曜日) サタデーサイエンス 浅島先生特別講演

 浅島先生の研究への熱意や情熱があふれるご講演でした。

 浅島先生のご専門は生物の根源に関わる分野であり、生物とは何かについて突き詰めて考えていくことが求められます。受精卵からさまざまな臓器が作られていく際に、何かの物質が関わっていくことは、もはや現代科学では常識です。浅島先生はその物質の存在を確認した際のエピソードについて熱く語っておられました。「物質はあるが、特定することは不可能で、その研究をするなら、一生をかけてやるくらいの覚悟がないと」と言われたエピソードはとても生徒にも印象的だったようです。

 さらに、浅島先生のお話は最先端科学にも及びました。最近、先生が関心を寄せていらっしゃることについてお話頂きました。先制医療や最先端医薬にも言及しておられ、今後、科学と倫理の分野においてより深い研究や考察が必要であることを熱弁しておられました。

 最後に、質疑応答にも応じてくださり、高校1年次生からさまざまな質問が寄せられました。「DNAはなぜ核酸の種類が4つしかないのか」など生物学の根幹に関わる質問も寄せられ、全ての質問に誠実にご対応くださいました。

  

 

サタデーサイエンス特別編「脳波×AI」

1月31日(火)、東京農工大学特任助教の福森航輔氏をお招きして、サタデーサイエン

特別編脳波×AI」を実施しました。「脳波とは何か」、「AIとはどのようなものか」を中心にお話しいただきました。

これまでは理科・数学の分野についての講演が多かった中で、サタデーサイエンスとしては初の試みであった情報分野の講義でした。研究の、私たちに見えている面だけでなく、私たちの目につきにくい大変でシビアな面についてもお話しいただきました。

 

高校生だけでなく附属中生も多く参加し、講演者の話にうなずいたり、驚いたり、笑ったりと、楽しく学んでいる様子が見られました。質問の時間を2度に分けて設けていただき、生徒は積極的に質問を投げかけており、主体的に講義に臨む姿が印象的でした。

 

生徒にとって、イメージしていたものとは少し異なった脳波とAIの世界。物事をよく理解することと、自分のやりたいことは何なのかを今一度考えさせられる講義となりました。今回の講義を通じて、さらに自分の興味・関心を深め、誠実に向き合っていってくれることを期待します。

 

 

 

サタデーサイエンス特別編「流体力学実習by日産自動車」

129日(金)、今年度も講師に日産自動車の方4名をお迎えし、サタデーサイエンス特別編「流体力学実習」講義&実習の授業を実施しました。流体の基礎知識を講義で学び、2人1チームで風による抵抗力が最も少ない自動車の模型を作成し、測定します。

例年人気のある講座で今年度も定員を上回る応募がありました。決められたルールの中で空気抵抗の少ないデザインを競う。多くのチームが、風があたる面積を減らすことを考える中、あるチームはあえて面積を増やして車に羽根をつけるというアイディアで勝負。その結果には、他チームだけでなく日産の方も驚いていました。自由な発想の中、仲間と話し合ってより良い模型の作成に目を輝かせていました。高校のカリキュラムでは学ばない「流体」の不思議に悩み、発見に感動する生徒の表情が印象的でした。

   

 

サタデーサイエンス特別編「ブラウン大学廣井孝弘先生特別講義」

サタデーサイエンス特別編は、土曜日に1年次生全員を対象に実施する「サタデーサイエンス」に加えて、希望者を対象に平日の放課後に実施する特別講座です。

今回は米国ブラウン大学の上席研究科学者で、隕石や小惑星の鉱物分光学の第一人者である廣井孝弘先生を本校のホールにお招きして実施しました。廣井先生は東京大学大学院卒業後に渡米し、米国科学アカデミー研究員としてNASAジョンソン宇宙センターに3年間滞在し、小惑星と隕石に関する新たな研究をスタートさせました。また、「はやぶさ」「かぐや」「はやぶさ2」の共同研究者として日本の惑星探査ミッションに参加されています。その廣井先生から直接お話を聞ける機会とあって、高校・附属中合わせて約180名の生徒が参加しました。

当日は「はやぶさ・はやぶさ2と隕石からわかる太陽系生成の神秘」というテーマで講演をしていただきました。世界で初めてS型およびC型小惑星から試料を回収することに成功したはやぶさ・はやぶさ2の快挙とその研究成果を専門分野の観点からお話しいただいた他、月と地球の関係や、南極について等、生徒の知的好奇心を次々と刺激するお話が続き、講演時間の80分があっという間に過ぎていきました。講演後の質疑応答でも、時間に収まりきれないほど多くの手が挙がり、解散後も、講義に感銘を受けたり、時間の関係で質問できなかったりした生徒たちが、廣井先生のサインを求めて長い列を作っていました。

    

 

【第3回サタデーサイエンス】 鈴木健吾先生講演

 

 618日、今年度第3回目のサタデーサイエンスが行われました。

 今回ご講演をしてくださったのは、株式会社ユーグレナ執行役員CTOの鈴木健吾先生です。講演のテーマは「ミドリムシ研究による国際的な社会課題解決の可能性」でした。

 

 鈴木先生が学生の頃から研究をされているユーグレナ(和名:ミドリムシ)について、多くの栄養素や独自成分パラミロンを持つことによる食品としての利用可能性や、ユーグレナ由来のバイオ燃料としての利用可能性等のお話をはじめとして、鈴木先生の大学時代の経験やユーグレナ社の設立について、また今後の企業展開についての展望など多くのことをお話ししてくださり、生徒たちは非常に集中し関心を持って聴いていました。

 また、ユーグレナ社が取り組むユーグレナ100%ハンバーグやDHAを多量に含む微細藻類オーランチオキトリウムを使用した寿司の開発の話題や、そのオーランチオキトリウムをエサにした食用コオロギの食品としての可能性についてのお話では、生徒が笑顔で楽しそうに話を聴いている様子が印象的でした。

 講演の最後には鈴木先生に生徒からの質問を受けていただき、ユーグレナを用いたCO固定や、鈴木先生の学生時代のことについてなど、生徒から出る様々な質問のひとつひとつに丁寧に答えてくださいました。

 ご自身の研究分野を生かし、会社を立ち上げ、地球規模の問題の解決に貢献している鈴木先生のお話を聴くことができ、生徒にとって非常に貴重な経験となりました。

   

 

 

【第2回サタデーサイエンス】 中川知己先生講演

  57日、第2回目のサタデーサイエンスが行われました。

今回ご講演してくださったのは、生徒たちがサイエンスリテラシーでもご指導をいただいている、特別非常勤講師の中川知己先生です。講演のテーマは「植物に学ぶ隣人との究極の付き合い方~役に立つ役に立たない研究~」でした。

長年に渡って中川先生が研究をされているマメ科植物と根粒菌の相利共生のお話をはじめとして、植物と微生物の関係性から「他者とどのように付き合えば良いのか?」という人生の問にまで発展するお話をしていただき、生徒たちは非常に興味を持って聴いていました。

また、講演の最中に中川先生から生徒への発問があり、それに対して生徒から活発な意見や多くの質問が出ていました。中川先生は生徒のそれらひとつひとつに対して丁寧に解答や助言をしてくださり、生徒たちにとって大変充実した講演会となりました。

今回も講演後の質疑応答では時間の制約によって途中で打ち切らなければならないほど生徒から質問が出ており、生徒たちの熱心な様子が見られました。今回の講演や先日のサイエンスリテラシーでお話しいただいた内容をきっかけに、これから始まる研究に向けて意欲的に取り組んでほしいと思います。

 

【第1回サタデーサイエンス】 藤嶋昭先生特別講演

  416日、第1回目のサタデーサイエンスが行われました。このイベントは、1年次生を対象に、大学や企業の方が様々なテーマでサイエンスについて講演をしてくださるものです。

今回は本校スーパーアドバイザー藤嶋昭先生(東京大学特別栄誉教授、東京理科大学栄誉教授)で、テーマは「科学を楽しく」でした。藤嶋先生は、光触媒の第一人者で、ご自身の研究が認められるまでの苦労や光触媒が身近で使われている例をお話してくださいました。新幹線の喫煙室の消臭・除菌、車のサイドミラーや家の外壁などで使われていることなどをうかがい、生徒達はみな興味をもっていました。

 他にも、光触媒がコロナウイルスにも効果的であることや、水をきれいにする研究など現在も研究をされているというお話も、生徒達の心に残ったようでした。

 

今年度も生徒達の質問がたくさん出ており、制限時間のために途中で止めなければならないほどでした。先生も一人ひとりに丁寧に答えてくださいました。藤嶋先生のご講演で刺激に受け、それをこれからの高校生活にいかしてもらえることと思います。

              

 

過去のサタデーサイエンスの様子

○藤嶋昭先生特別講演

本校スーパーアドバイザー藤嶋昭先生(東京大学特別栄誉教授、東京理科大学栄誉教授)の特別講演で、テーマは「先人に学び、世の中に貢献できる研究をしよう」というものでした。 藤嶋先生は光触媒研究の第一人者であり、その研究が認められるまでに苦心したことや、様々な分野への応用例をご紹介くださいました。最後の質疑応答では、質問したい生徒たちの行列ができました。

  

 

○中川知己先生特別講演

 本校の2年次生が取り組むサイエンスリテラシーⅡの植物コースでご指導いただいている中川知己先生による講演です。テーマは「研究テーマの見つけ方と実例紹介」というものでした。来年度、探究活動をする上でとても貴重な時間となりました。

  

 

○横浜市立大学での実習

 本校が連携している横浜市立大学の金沢八景キャンパスで、オープンキャンパスに参加したり、実習を行ったりしました。オープンキャンパスでは、各学部の説明のほか、本校卒業生の話を聞くことができました。実習では、篠崎一英先生による「光に関する現象の自由研究」、内山英穂先生による「分化胚の観察」をテーマに実験を行いました。普段行えない貴重な体験をすることができました。

  

 

○理化学研究所一般公開ボランティア       

 理化学研究所の一般公開日に、一部の生徒が科学的な体験講座を行うスタッフとして参加しました。職員の方のアドバイスを基に、科学の楽しさをしっかりと伝えることができ、一般の方へ科学的なトピックを伝える力―サイエンスコミュニケーション力―を培うことができました。

 

 

○英語特別講座「プレゼンテーションの英語」 

 神奈川大学外国語学部の久保野雅史先生より、英語プレゼンテーションに関する講演をしていただきました。講義の後に、音楽に合わせ、リズムを意識しながら音読したり、短文を音読し、発音を確認したりする実習も行いました。今回学んだことを、2年次でのマレーシア海外研修にも生かしてほしいと思います。

  

 

 ○市大医学部実習

 横浜市立大学医学部を訪問しました。実習内容は、大学4・6年生が採血実習として行う講座を、高校生に対してほとんどそのままの内容で行うというものです。実習後には医学部に入学するためのアドバイスや、医学部生としての日常のお話をご紹介いただきました。

   

 

○地質学実習

 横浜国立大学の河潟俊吾先生による地質学実習です。河潟教授が実際に相模川の下流付近の2地点から堆積物を採取してきてくださり、その堆積物を粒度分析(ふるい法)という方法で分析し、採取した2地点のどちらが上流側のものなのかを分析結果から考察する、という内容でした。

  

 

○キリンビール横浜工場見学

 キリンビール横浜工場を見学させていただきました。前半は施設見学、後半は横浜工場の酒類技術研究所の方に講義を行っていただきました。シャーレに入った本物の酵母を用いて実験をすることができ、教科書で見る酵母が実際にどのようなものなのかを肌で感じられる貴重な体験でした。

  

 

○流体力学実習

 日産自動車株式会社の社員の方による流体力学実習を行いました。流体力学の講義を受けた後に、空気抵抗の小さい車を作るコンテストを行いました。同じ構造でも前面の向きが違うと空気抵抗の大きさが全く異なり、生徒たちは夢中になってコンテストに取り組んでいました。

  

 

○マスフォーラム

 マスフォーラムとは、数学に関するフォーラムで、午前はジャズピアニストで数学者でもいらっしゃる中島さち子氏による講演、午後は希望者による数学に関する研究発表会という形式で行われました。発表会では他校からも8校の参加があり、数学に関するハイレベルなディスカッションをすることができました。

  

 

○JAMSTEC高井研先生による講演

 JAMSTECで生命の起源を探る研究をされている高井研先生による講演がありました。人は何故学ぶのか?という問いに始まり、理科に固執せず、国語力やプレゼンテーション力などもサイエンティストには必要であることなどを話されました。生徒は熱心にメモを取り、講義の後には多くの質問がでました。

 

○京三製作所 インターンシップ体験&工場見学

 株式会社京三製作所本社において、インターンシップ体験&工場見学をさせていただきました。インターンシップ体験では、京三製作所が開発している継電連動装置(信号リレー)を、実際に触って動かし、その動きや仕組みを言語化して他者に説明する、というワークを行いました。工場見学では、鉄道信号システムの運行管理装置と継電連動装置を実際にシミュレーションで制御させていただいたり、製作中の製品を見せていただいたりしました。

  

 

○資生堂 松原惇高氏による講演

 株式会社資生堂の松原惇高氏による講演があり、テーマは「これから研究を始める高校生へ~研究テーマの決め方について~」でした。ご自身が学生時代に行った、火星で利用可能な微生物に関する研究テーマをもとに、経験を交えながら話してくださり、最後には「興味をもったらとりあえずやってみよう!」というメッセージをいただきました。

 

○浅島誠先生特別講演

 本校スーパーアドバイザー浅島誠先生(現常任スーパーアドバイザー、東京大学名誉教授、産業技術総合研究所名誉フェロー)の特別講演で、テーマは「次世代を担う皆さんへ 科学と社会」というものでした。講演の中で、日本が今抱えている課題、例えば少子化・高齢化社会への対応や、子どもの理科離れ、人口の都市への集中と地域の過疎化など、多くの問題に立ち向かってほしいというメッセージをいただき、次年度に向けての意識が高まる時間となりました。

  

 

サタデーサイエンス 浅島誠先生特別講演

 今年度最後のサタデーサイエンスは、本校常任スーパーアドバイザーの浅島誠先生によるご講演でした。浅島先生は生物の根源に関わる分野が専門であり、この分野は「生物とは何か」について、突き詰めて考えていくことが求められます。

今年度1学期に行われた浅島サロンにてお話しいただいた「自分の夢や目標を立てて、それを紙に書いて育てていますか」という問いかけからご講演が始まりました。講義の中では、アクチビンという受精卵の成長を促進する物質の存在を確認するまでの様々なエピソードの他、先制医療や最先端医薬にも触れてお話しいただきました。